ここ数日「むくみ」について調べるが、非常に範囲が広いことに気づく。
中医書でも「月経期」・「産後」・「妊娠」・「小児」etcと細かく分類されている。
全部を調べるにももう少し時間を要しそうであるため、今回は「妊娠中のむくみ」について解説していきたいと思う。
まず前提として「妊娠中」の身体状態は特殊である。
母体は胎児を育てるために、子宮内に多くの生理物質を必要とする。そしてその消耗は著しい。
母体は主に必要な栄養物質は飲食物から得ている。(五臓の「脾」が担う)
また子宮内の栄養物質は生殖機能に大きくかかわる臓器「腎」によって供給されることが多い。
この「脾」・「腎」をフル稼働させることによって胎児育成が行われているのである。
また五臓から離れるとお腹が大きくなってくる物理的圧迫・活動量低下・出産へのプレッシャーで「気滞(流れの滞り)」が生じやすい。
このように中医書では、「脾」「腎」の衰弱・「気滞」から妊娠中のむくみが解説されている。
@脾虚(湿盛)型
消化器の消化・吸収トラブルにより水液物質の停滞が生じる。
・むくみの特徴…全身から徐々にむくむか、四肢からむくむこと・押すと戻りにくい・皮膚に湿り気がある
・その他見られる症状…食後に眠くなる・水分量の多い便が出る等
A腎虚(水犯)型
必要な水液を身体に再吸収する、不要な水液を尿へ化生させる機能の失調により水液物質の停滞が生じる。
・むくみの特徴…下腿・特に足首からむくむことが多い・押すと戻りにくい・皮膚に湿り気がある
・その他見られる症状…耳鳴り、眩暈、腰・下肢の冷え・小便の回数が多いが量は少ない等
B気滞(湿阻)型
生理物質の運搬する力に滞りが生じた結果、水液物質の停滞が生じる。
・むくみの特徴…押してもすぐ戻る・足の甲からむくむことが多い・起床時や同じ姿勢が続くことで悪化
・その他見られる症状…お腹と肋骨の境目あたりの張り感・腰部の張った痛み・便秘等
直接の治療対象となることは比較的少ないかと思いますが、自身の体の状態を判断する上での参考となればうれしいです。
スタッフ 杉本