●帯下(たいげ)とは?
帯下とは、膣から流出する粘稠性の物質を指す。量・色・君になんらかの異常を露呈し、全身にも症状が伴うことを「帯下病(たいげびょう)」という。現代医学での膣炎・内性器炎・子宮頸がんと多くの疾患と類似している。
●おりものが白いということ
月経初期・妊娠初期にごくわずかに陰道から分泌物が排出されるものは正常とされている。
月経期・妊娠初期以外に量が多くなる、臭いを伴うような状態であれば体内に何かしらのトラブルが生じているとサインと見なされる。
卵白用の白色透明・粘稠性の液体であり、切れ目なく分泌されるおりものを「白帯」という。(色は「白」く、綿々と「帯」のように見えることから白帯という)
●白帯についての東洋医学的解説
白帯の原因は大きく二つに考えられる。一つは体内の水液代謝異常から吸収や排出されない水液物質が下半身(子宮)に流入することが挙げられる。これらは主に消化・吸収を担う五臓(脾)・排尿・生殖を担う五臓(腎)の機能低下により生じる。二つめは「帯脈」の異常である。帯脈は身体のエネルギーの運行ルート経脈の一つであり、お腹〜腰をぐるり一周するような形で運行している(帯を結ぶイメージ)。帯脈の失調は下半身症状として出現し、おりものの量の増加(子宮の入り口が閉まる力が低下するイメージ)ほか、腰に力が入らない・下肢軟弱・子宮下垂などが見られることとなる。
①脾虚白帯(消化器低下・水液余剰タイプ)
飲食の不摂生や過労による消化器の機能の低下が原因。消化・吸収機能が低下し、体内に残った水液が子宮へ注がれる・加えて帯脈を損傷することで生じる。
(特徴)量が多く色は白い、あるいは淡黄色で唾液状・絶えず出ている・疲労により量が増える
(身体症状)顔色が黄色く光沢がない・四肢が冷える・精神疲労・全身無力・物を食べたがらない・下痢・両足背部の浮腫など
②腎虚白帯(泌尿器生殖器低下・水液余剰タイプ)
早婚・出産過多・過剰な性生活により生殖機能を担う「腎」が衰えることで生じる。腎の機能低下によりが余剰水分が体内に生じ子宮へ注がれること・帯脈が失調することで生じる。
(特徴)少量で水様の白帯が終日途切れることなく流出する
(身体症状)顔色が黒い・腰部の折れるような痛み・腹部冷感・多量の小便・下痢などの症状が見られる。
③湿熱白帯(余剰水分+熱タイプ)
体内の余剰水分が長期間体内に存在することが原因。加えて湿気などの外的環境も身体に作用することで余剰水分が熱化し、余剰水分や熱が子宮に流入、帯脈を損傷することで生じる。
(特徴)多量で粘稠であるが、濃縮された乳白色(豆乳状)であり臭気も伴うことが多い
(身体症状)外陰部の湿り感・痒み(刺すような痛みが伴うことも)など
④痰湿白帯(余剰水分ネバネバタイプ)
体内の余剰水分が長期間体内に存在することが原因。余剰水分が体内を巡らず停滞することでより粘稠度の高い水液物質が生じる。これらが子宮に注がれることにより白帯が生じる。
(特徴)多量で粘稠・もともとぽっちゃり体形であることが多い
(身体症状)ものを食べらがらない・お腹が脹る・口の中がネバネバするなど
スタッフ 杉本
◎参考文献
「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社
「わかる中医学入門」 燎原出版社
「中医病因病機学」 東洋学術出版社
「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社
「漢方用語大辞典」 燎原出版社
※新着時期を過ぎると左サイドバー《帯下(おりもの)》に収められています。