声が枯れたり、かすれたり
上手く発声が出なくなることを嘶や哑と言います。
なぜ声が出なくなるのか、主な原因は
風寒、風熱、熱邪、陰虚、血瘀痰聚などが挙げられます。
それぞれどんなメカニズムで声が出なくなるのか、見てゆきましょう
①風寒によるもの
風邪(かぜ)を引いた時に声がしゃがれてしまうタイプのひとつです。
外から侵入した風寒の邪が呼吸器機能を障害し、そのうちの寒邪が喉に居座る事で声が出にくくなります。
病原菌が喉に居座るよくみるタイプの風邪(かぜ)の見立てとよく似ているかと思います。
このタイプで現れる症状は声の掠れの他に
悪寒、発熱、汗が出なくなる、喉が痒くなる(痛くなる)
などがあります。
②風熱によるもの
暑い環境下でかかる風邪(かぜ)や、①の風寒タイプが長引いて熱に変わったものがこのタイプ。
発生の機序は風寒と同じで風熱の邪が
熱は燃え上がるように、症状が激しくなります。
喉の痒みは焼けるような感じになり、黄色い痰を吐くようになります。
発熱はもちろんしますし、声帯が腫れることもあります。
③熱邪犯肺
乾燥と熱の邪が肺を犯す事で発生します。
とりわけ、熱く乾燥した時期に多いと言えます。
乾燥や熱が身体の水分を蒸発させる事で粘度が高い痰を生成し、それが喉の機能を邪魔する為に声が出なくなります。
症状の特徴は「乾き」で、喉や口の乾きが強く出ます。
乾くけど、ネバネバして声が出しづらい、そんな時はこのタイプを疑います。
④肺腎陰虚
肺は水分の運搬、腎は水分の分別や排泄をする作用があります。
また、水分は身体の熱が強くなり過ぎないように調節する機能があります。
元々潤いが少ない体質や、加齢による潤いの低下はこれら臓腑の働きが弱くなっている事が多く
水分の低下が熱を抑えられない
↓
熱が暴走する
↓
肺(呼吸器)に関連のある喉に影響がでる
という流れで声に擦れが生じます。
乾きを伴いますから、風熱タイプと同じく喉や口の渇きや粘ついた痰を生じますが
声の掠れが長引く傾向にあり、口周りだけでなく粘膜全体の乾燥が現れます。
⑤血瘀痰聚
声帯が肥厚したり、できものや腫瘍ができる事で声が出なくなるタイプです。
なんらかの原因によって血の流れる脈絡が阻滞する事で発生します。
異物が取り除かれなければ声の掠れは取れませんから長期化し、段々と悪化していきます。
腫瘍やできものなどが発見されたらこのタイプと考えます。
スタッフ伊澤