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『崩漏(ほうろう)』学生時代に初めて覚えた中医用語と記憶している。

当時はそれ以上調べることも、問われることもなかったが最近の臨床における随伴症状としてよく遭遇するために今一度調べてみた。

●崩漏とは?

いわば『不正出血』であり、月経期以外に性器から出血する状態を指す。

出血量や出血の様子により、『崩(ほう)』と『漏(ろう)』と分類される。

『崩』は出血が突然起こり、かつ出血量が多いものを指し、これに対し「漏(ろう)』は腹腔から漏れるような出血であり、少量ずつ持続的な出血を指す。両者は相互に転化することもあるために、『崩漏』と言われる。

●不正出血が生じる東洋医学的な原因

子宮へ気血を運搬するルート(衝脈・任脈)の損傷により、血液を子宮内に留めておくことが出来ず外へ溢れることにより生じる。

①子宮内に熱が生じること・②子宮内に血液を留めておく力の低下・③月経時に血液がすべて排出されず残存していることが原因となることが多い。

〇熱タイプの不正出血(血熱崩漏)

もともとの身体を温める力が大きい(陽性)体質の方に多く生じる。加えて、高温な気候・食生活(辛い者などの食べ過ぎ)・ストレスなどによって子宮への気血を運搬するルートが損傷することにより生じる。

経血色は深紅であり、めまい、顔が真っ赤になる、入眠困難、口が乾き冷たい飲み物を欲しがるなど熱症状が身体出現する。

熱が生じる機序により、以下4パターンに分類される。

①高温な気候(外感風熱)による不正出血

もともとの陽盛な体質に加え、高温な気候により子宮内に熱が生じることで不正出血が生じる。

膣から高温な気候が侵入するイメージ。

(身体に出現する症状)悪寒や咳・ひどい場合は高温の発熱、鼻血などが見られる

②脾胃湿熱による不正出血

もともとの陽盛な体質に加え、飲食不摂生や多湿な環境により消化器に熱が生じる。生じた熱が子宮への気血供給ルートや子宮に影響を及ぼすことで不正出血が生じる。辛いもの・味の濃いもの・飲酒過多などが主な原因となる。

(身体に出現する症状)吐き気、体が重だるい、泥状便、小便が赤くて量が多い、皮膚の痒みなど

③肝火による不正出血

もともとの陽盛な体質に加え、突発的な感情の変化により生じる。怒ると身体が熱くなるように抑鬱された感情の爆発は体内に熱を生じさせ、生じた熱が子宮への気血供給ルートや子宮に影響を及ぼすことで不正出血が生じる。

(身体に出現する症状)目の充血、口が苦い、側胸部の張り感、便秘など

④腎陰虚火旺による不正出血

体内が保有する保湿物質が不足することで生じた熱が体内に熱が子宮・子宮への気血供給ルートへ影響をすることで不正出血が生じる

加齢・長期間病気を患うこと・出血過多・多産などが保湿物質を損傷する原因となる。

(身体に出現する症状)膝腰の重だるさ・頭部揺れ・耳鳴り・口が乾くが飲み物を欲さないなど

長くなってしまったので、別タイプについてはまたの機会に…。

スタッフ 杉本

◎参考文献◎

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版

「漢方用語大辞典」 創医会学術部

「430種疾病鍼灸表解」 中医古籍出版社

「中医症状鑑別診断学」人民衛生出版社

※新着時期を過ぎると左サイドバー《不正出血》に収められています。

連日の男子柔道金メダルの姿に涙腺がゆるゆるな研修生の大久保です。

気持ちのこもったガッツポーズもいいですが、相手に敬意を払い、最後まで

礼節を重んじる姿がカッコいいですね!

さて今回は、今まで主な症状に伴って起こる状態(随伴症状)であった

「胸悶(きょうもん)」を主役にして、『胸悶になったらどんな弁証になるのか』

という、今までとは反対のルートでお話ししたいと思います。

胸悶とは

胸がつまる、脹る、落ち着かないような胸の不快感があり、重症化すると

胸が熱く悶(もだ)え暴れる事がある。胸痞(きょうひ)とも呼ぶが、この場合は

痛みが無い場合に使うことが多い。

弁証

風寒束肺・熱邪壅(よう)肺・肝気うっ結・痰湿阻肺・心血お阻・心気虚・心血虚

今回は多いですね(笑)

おおまかにまとめますと、胸周辺の臓“心”“肺”そして、身体の流れに関係する

“肝”の異常により症状が表れる事が分かります。また“虚実寒熱”などで分けられ

ます。

原因が多くて大変ですが、現場では悪寒や発熱、喉のつかえや痰など、他に

気になる症状が出てないかを聞きながら弁証を確定してゆきます。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

⑤湿熱鬱結(しつねつうっけつ)タイプ

消化器の虚損から体内に余剰な水分が生じた後に、余剰水分が熱気を帯びることにより生じる。

熱気を帯びた水液物質が子宮・子宮への血液供給ルートに侵入することで血液の運行が阻害される。結果、血液の停滞及び凝固され生理痛が生じる。

●主な原因

食生活(普段より辛いもの・味が濃いもの・飲酒・甘いもの)を食する。

長期間精神抑鬱状態が続くこと

●月経の特徴

月経前や月経期にお腹の指すような痛みがある(熱感も伴う)・お腹を押されると苦しい

血液は黒い赤であり臭いも伴う

●全身症状

帯りものは黄色く濁っている・小便は赤く回数が多い・舌は赤く苔は黄色い・脈がはやいなど

⑥衝任虚寒(しょうにんきょかん)タイプ

身体の保有する温める力が不足していることが原因となる。子宮・子宮への血液供給ルートにも温める力が低下するために冷えが生じ生理痛がする。

●主な原因

もともとの陽虚(身体をあたためる力が不足している状態)体質

過度な性生活・若年での出産・出産過多など

●月経の特徴

月経後半・月経終了後に下腹部痛が生じる・温めると楽になる・色は淡く・量は少ない

●全身症状

寒がり・普段から下腹部が冷える・腰が冷えて重だるい・量が多く水様のオリモノが出る

⑦肝火上炎(かんかじょうえん)タイプ

全身の循環を担っている五臓の「肝」。働きが失調することで全身の生理物質の運行が停滞する。

停滞が長期間続くことで体内に熱が生じてしまい、生じた熱が子宮の運行をさせてしまうため月経痛が生じる。

●主な原因

長期間にわたるストレス・精神抑鬱・突発的な精神刺激を受けるなど

●月経の特徴

月経前・月経期におこる下腹部の張った痛み・経血は鮮紅で量が多い

全身症状

顔や目が赤くなる・口が苦い・怒りっぽい・頭痛・めまい・便秘など

スタッフ 杉本

◎参考文献◎

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版

「漢方用語大辞典」 創医会学術部

「430種疾病鍼灸表解」 中医古籍出版社

「中医症状鑑別診断学」人民衛生出版社

「イラストわかる指圧 生理痛・生理不順」 ユリシス出版部

月経痛は東洋医学では「痛経(つうけい)」・「経行腹痛(けいこうふくつう)」ともいう。

月経前後あるいは月経期間中に発生する。腹部の痛みを指し、耐え難い痛みである場合もある。

また同時に顔面蒼白・頭面部の冷汗・悪心嘔吐などの症状を伴う。

本病は気血の運行が停滞することで痛みが生じる。

①気滞血オ(きたいけつお)タイプ

体内の巡り・循環力が停滞することで血液運行も滞るため、月経時に痛みが生じる。

全身の巡り、循環を担う五臓の「肝」の失調によるものが多い。子宮においては血液の運行が阻害される。

●主な原因

ストレスや発作的な怒りによるものが多い。

●月経の特徴

月経前・月経期の下腹部の脹満疼痛を主な症状とする。

月経量は少なく・ポタポタと滴下状に出血し、経血色は紫色で血の塊を伴う。

●全身症状

月経前に乳房・両脇肋部の張り・痛み・イライラ感など。

②寒湿阻滞(かんしつそたい)タイプ

寒冷・多湿な刺激が子宮に冷えを生じさせることが原因となる。冷えは血液を凝縮させる原因となるり、血液の運行が滞り、子宮に停滞することで月経痛が生じる。

●主な原因

月経前・月経中に雨に濡れて歩きまわる、水泳や冷たいもの生ものを食べることでなど。

●月経の特徴

月経前・月経時の下腹部の冷え・腰背部全体の痛み(温めると軽減)を主症状とし、経血量の減少・暗色で血の塊を伴うなどの所見を見る。

●全身症状

寒さを恐れる・下痢・舌の苔は白く厚い

③気血虚弱(きけつきょじゃく)タイプ

体内のエネルギー・栄養物質(東洋医学の気血)の不足によって子宮へ供給する血液の栄養を受けられられなくなることから生理痛が生じる。

●主な原因

もともとの虚弱体質・大病や長期間病を患うことによる気血の損傷

●月経の特徴

月経時・月経後における小腹部のかすかな痛み(手で押すとやわらぐ)・色は薄く・サラサラとした液状となる

●全身症状

顔色は青白い・精神倦怠感・手足に力が入らない・動悸・息切れ・物を食べたがらない・下痢・舌色は淡い・脈は細い。

④肝腎虚損(かんじんそんきょ)タイプ

子宮へ気血を供給する主な臓腑「肝」と「腎」の損傷による。「肝」と「腎」の機能が弱まり、「子宮」や「子宮への気血の運行ルート」が栄養不足の状態となり、生理痛が出現する。

●主な原因

過剰な性生活・出産過多・加齢などにより原因が精血が減少することによる。

●月経の特徴

月経時に小腹部痛・腰痛を生じる。時に耐え難い激痛に至ることもある。月経時・月経後の腹部のかすかな疼痛を主症状とし、色は淡く量は少ない。

●全身症状

めまい・耳鳴り・膝腰部がだるい・あるいは痛みといった症状が見られる。

分類が多いため、続きは「生理痛の東洋医学的分類②」にて。

スタッフ 杉本

◎参考文献◎

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版

「漢方用語大辞典」 創医会学術部

「430種疾病鍼灸表解」 中医古籍出版社

「中医症状鑑別診断学」人民衛生出版社

「イラストわかる指圧 生理痛・生理不順」 ユリシス出版部

夏でも毎晩ぬかパックをお腹に置いて温めている私からすれば、おへそが出ているスポーツウェアは殺人ウェアとしか思えない研修生の大久保です。

さて、前回は主な夏バテの症状から中医学的な証を立ててみましたが、今度は夏バテ予防や夏によく口にする食べ物の性質からどのような証があるのか見てゆきたいと思います。

品目     味   性質   体質

レバー    甘   涼    血虚

トマト    甘酸  涼    気虚・水滞

豚肉     甘鹹  平    気虚・津液不足

ナス     甘   涼    気滞・血虚

梨      甘酸  涼    水滞・津液不足

スイカ    甘   寒    〃

きゅうり   甘   涼    〃

とうもろこし 甘   平    気虚・水滞

うなぎ    甘   平    気血陰虚

枝豆     甘   平    気虚・水滞

打ち込んでいる途中からカレーのイメージが頭から離れませんでした(笑)

味の項目は見事な位『甘』ですね!これは五行では『脾』に当たります。

性質はもちろん体温を下げる効果のあるものが多いですね。

そして体質です。前回出ました証とほぼ一緒です。

以上のことから夏バテとは

気虚 血虚 陰虚 陽虚をベースとし、さらに脾胃が傷つく事で様々な体調不良が出ると言えるのではないかと思います。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

先週、通勤途中に一匹だけ鳴いていたセミの声を聞いて「あわてんぼうのセミだなぁ」と思ったのですが、夜には今まで傘マークばかりだった週間天気予報が晴れマークになっていたので「あわてんぼう」と言った事をお詫びして訂正した研修生の大久保です。やはり自然の事は自然に聞いたほうが良いですね。

さて、今回は毎年悩まされている方もいるかもしれない『夏バテ』を中医学的に説明したいと思ったのですが… 私の探し方が悪かったのか、そもそも『夏バテ』という言葉があまりにも広範囲を指す為か、持っている中医書では『夏バテ』そのものを説明している本がありませんでしたので、東西色々な切り口から弁証を立ててゆきたいと思います。

<夏バテとは?>

夏の暑さにより倦怠感・疲労感・食欲不振・睡眠不足・便秘、下痢などの身体の不調を指す。

(ここでの睡眠不足は暑さにより寝つきが悪い結果起こる寝不足とする)

<夏バテの原因は?>

空調による自律神経の乱れ・脱水・ビタミン、ミネラルの不足・消化器の機能低下

今度は上記の症状に証を当てはめてみます。

倦怠感 …気虚

疲労感 …気虚

睡眠不足 …血虚

食欲不振 …脾胃の気虚、脾陽虚、湿困脾胃 

便秘 …熱証、血虚、陰虚、肝鬱、津液不足

下痢 …脾気虚、脾陽虚、脾腎陽虚、湿熱証

何となく見えてきましたね!次回はもう一つの切り口から夏バテを検証してゆきたいと思います。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

先日の続き。

胎動不安が生じる原因として、子宮に通じるルートにトラブルが生じることを説明いたしました。

主に①気(エネルギー)・②血(栄養)が不足して胎児を養うことが出来ない(詳細はこちら)。

今回はその他の4パターンの解説になります。

③腎虚胎動不安(じんきょたいどうふあん)

五臓の「腎」に起因するもの。「腎」は胎児へ必要なエネルギー源を保有する他、胎児を子宮内に留めておく作用を有する。ゆえに腎が損傷することで胎動不安が生じる。腰のだるさと腫脹・少量の膣内出血などの主症状の他に眩暈・耳鳴り・頻尿などの症状を見る。

④血熱胎動不安(けつねつたいどうふあん)

熱が原因となる。熱が子宮に及べば胎児の生育に必要な成分(エネルギー・栄養物質・水液物質)を焼却させてしまう。ゆえに胎児を養うことが出来ず胎動不安が生じる。体を温める力が盛んな体質・発熱などが原因となる。下腹部が張り、痛み伴うことが特徴。口や咽の渇きなどの身体症状が見られる。

⑤気鬱胎動不安(きうつたいどうふあん)

五臓の「肝」に起因するもの。「肝」は全身のエネルギー循環を調整する作用を有している。「肝」の損傷はエネルギー循環の停滞を生じさせる。子宮においては、エネルギー・栄養物質を子宮に届ける力に停滞が生じてしまう。ゆえに胎児を養うことが出来ずに胎動不安が生じる。腹部に張り感を伴うことが特徴。抑鬱感・怒りっぽいなどの精神症状を伴うことも多い。

⑥外傷胎動不安 (がいしょうたいどうふあん)

外傷に起因するもの。妊娠後になんらかの外的なショック(転倒・重たいものを持つなど)を受けて衝脈任脈の気血が損傷することによって発症する。腰が重だるく腹部が痛む・陰部からの出血がある者が多い。

いかがだったでしょうか?

今回は五臓の「肝」「腎」の失調に由来するもの・「熱」「外傷」に由来するものについて説明させていただきました。

皆様の症状を把握する上での参考になれば幸いです。

スタッフ 杉本

◎参考文献

「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社

「わかる中医学入門」 燎原出版社

「中医病因病機学」 東洋学術出版社

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社

「漢方用語大辞典」 燎原出版社

※新着時期を過ぎると左サイドバー《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

胎動不安(たいどうふあん)とは、妊娠中に胎児が活発に動く感覚(下に動く感じ)を感じた後に、軽い腰のだるさを感じるものを指す。甚だい場合には膣内から少量の出血が見られる。流産の前兆として見られることが多い。

胎動不安が生じる原因としては、子宮へ密接にかかわる経絡(東洋医学的なエネルギー・栄養物質の運行ルート)の損傷により胎児を養うことが出来ないことが挙げられる。

身体の中の何の生理物質が足りないか?どこの五臓六腑にトラブルが生じたか?などで分類されるが大きく分けて6パターンある。以下解説を行っていきたい。

①気虚胎動不安(ききょたいどうふあん)

子宮内のエネルギー量が少ないこと・子宮へエネルギー・栄養物質を届ける力が低下することが原因となる。エネルギーは胎児の発育に関わる他、子宮内に留めておく役割を持っている。不足することで胎児を養えない、子宮内に留めておくことが出来ないために胎動不安が生じる。エネルギー不足の症状が全身にも表れ、顔色が白い・心身の倦怠感・息切れ・ボソボソと話す・寒がりなどが生じる。

②血虚胎動不安(けっきょたいどうふあん)

子宮内の栄養物質が少ないこと・子宮内へ供給する栄養物質が少ないことが原因となる。

胎児は養われないために、胎動不安が生じる。栄養不足症状が全身にも見られ、眩暈や動悸・顔色は黄色い・皮膚はカサカサしている・脈が細く力がないなどが出現する。

①のエネルギー不足タイプについては、全身のエネルギー(気)を補うツボ

②の栄養不足タイプについては、栄養を補うツボを用いて治療致します。

またエネルギーや栄養が不足している原因を把握して、生活上におけるアドバイスもさせていただきます。

少し長くなってしまいそうなので、残りの4パターンはまたの機会に…。

スタッフ 杉本

◎参考文献

「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社

「わかる中医学入門」 燎原出版社

「中医病因病機学」 東洋学術出版社

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社

「漢方用語大辞典」 燎原出版社

※新着時期を過ぎると左サイドバー《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

咽喉が痒いことを「喉痒(こうよう)」という。

体内の保湿物質や栄養物質が不足した結果、火灼して咽喉が養われないことによるものが多い。

胃の熱が火が燻じて肺に達することでも生じるがことではここでは「肺」の失調によるものに焦点をあてて解説する。

①風寒(ふうかん)喉痒

気候や気圧の変化・寒冷刺激が肺に侵入し機能低下を招くことが原因となる。肺の機能低下は全身のエネルギー供給・水液を供給する力の減弱を招く。咽喉部では潤い物質が不足した結果、痒みとなる。さらさらとした痰や鼻水が出る・のどはかすかに痛むといった症状を併発する。全身症状としては汗が出ない・全身の発熱・寒がり・頭痛などが出現する。

②風熱(ふうねつ)喉痒

気候や気圧の変化・高温な外的環境が肺に作用することが原因となる。水液を供給する力が低下されることに加え、体内の潤い物質が熱によって焼却される。咽喉部においても潤い不足が生じ、痒みが生じる。のどの渇きも伴うことが特徴。咳が出る・声を出しにくい・咽が赤くはれるなどの呼吸器症状、発汗・発熱・頭痛を伴うことが多い。

③肺燥(はいそう)喉痒

乾燥した気候が肺に侵入することが原因となる。乾燥は体内における乾燥症状を招く。肺においては気道における潤い物質を損傷させることに加え、肺自体の機能低下(全身のエネルギー・水液物質の運搬・気道を清潔に保つなど)が生じてしまうことで痒みが生じる。乾いた咳が出る・痰は少ない・ネバネバした性質のため吐き出しにくい・鼻は乾燥するなどの乾燥症状が特徴。

④肺陰虚(はいいんきょ)喉痒

肺の保有する潤い成分・栄養成分の不足が原因となる。長期間病気を患うこと・発汗過多などに由来する。肺は気道に通じているため、肺の損傷(潤い・栄養不足)が気道までおよび痒みが生じる。痒みの程度はわずかであることが特徴。身体症状はのどや口が乾く・咳が出る・痰はネバネバとしている・息切れ・声に力ないなど。

スタッフ 杉本

雨の日が続き、浴室乾燥をフル稼働させている研修生の大久保です。

二日後の七夕は暦では『小暑』といって、梅雨が明け暑さが本格的になる頃のようですが、まだまだ

明けるのは先ですね。

さて、今回はそんな暑くなってくる時期に起きやすい食中・食後に眠くなる「食後困頓(こんとん)」

という症状をご紹介したいと思います。

1.脾気虚タイプ

 症状 :食中・食後に眠くなる 倦怠感 汗っかき 食欲不振 食後にお腹が張る 

     軟便 肌が黄色っぽい 舌の色は淡く、腫れぼったい

2.痰湿中阻タイプ

 症状 :食中・食後に眠くなる 頭や身体が重い 胸がムカムカする 軟便 食欲不振

     口が粘っこい 太り気味 舌の苔が白い

どちらも脾の持つ食物を運ぶ作用が低下した為に起きるものですね。

鑑別のポイントは午後の疲労が溜まった時や手足・陰部の湿り感。浮腫みの有無などを見て

用いるツボを選択してゆきます。

湿気が多かったり、冷たいものを一気に飲んで脾を痛めやすくなる季節です。

夏の準備の為にも消化器には無理をさせないよう心掛けましょう!

水分代謝アップの為にトウモロコシ茶飲んでます

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

先日、「頭の冷え」を主訴の患者様がお見えになられた。

中医書の記載には「頭冷」とある。頭部の冷えを自覚し、帽子や衣類などで頭を覆うと症状は軽減・冷たい風にさられれると悪化する、とされている。

頭痛やめまい症状が付随することが多い。ただ、今回は「頭冷」のみに焦点を当てて解説していきたい。

●「頭冷」についての東洋医学的解説

考えられる原因は大きく分けて2つ。1つ目は頭部が寒冷刺激にさらされること・2つ目は頭部の温める力が不足した結果冷えが生じることが挙げられる。

①厥陰中寒(けついんちゅうかん)頭冷

外的環境からの寒冷刺激によるもの。寒冷刺激が体内に侵入する。侵入した寒冷刺激が頭頂部につながる経絡(東洋医学的なエネルギー・栄養分の運搬ルート)へと到達することで頭冷が生じる。冷え症状が強く顔色が青白い・四肢の冷えなどが見られる。発症が急激であり頭痛や頭冷は強いが長くは続かないことが特徴である。

②督脈虚寒(とくみゃくきょかん)頭冷

頭頂部に連なる経絡のトラブルが原因となる(①とは別ルート・督脈という)。督脈は全身を温める力やエネルギーを総括する特徴を有す。働きすぎ・長い間病気を患うことなどにより督脈上のエネルギーが損傷。その結果、温める力が不足するため、頭頂部において冷えが生じる。働き過ぎ・長い間病気を患うことなどが原因とされる。背中や腰の冷えも見られ、頭冷同様温めることで症状が軽減することが多い。発症は緩やかであり、症状はさほど強くはないが長く続くことが特徴である。

当院では「頭の冷え」も治療対象です。お困りの方は一度当院までご相談ください。

スタッフ 杉本

酸っぱい液体が胃の中から口の中にあふれ出た時すぐに嚥下することを「呑酸(どんさん)」という。嚥下せず液体を吐き出した場合は別の症状とされ、「吐酸(とさん)」と呼ばれている。

この呑酸は現代医学的での「逆流性食道炎」に相当する

●呑酸を話すまえに…

呑酸はいわば胃の中にある液体(胃液)が口の中に昇っていく状態を指す。

胃は口から取り入れた飲食物を消化し、小腸に輸送する作用を有する。

胃の機能失調によって、「胃の中に留まる」or「胃→口という逆転現象」が起こることが原因と考えられる。

上述の内容を踏まえて、解説に移りたい。

①肝気犯胃(かんきはんい)による呑酸
精神的なストレスにより消化器のはたらきが悪くなることが主な原因となる。五臓の「肝」は五臓六腑の働きをスムーズにする役割を有するが、精神的ストレスなどが原因で停滞が生じる。「肝」の失調が消化器に及び、胃の内容物を小腸に輸送する働きが低下することで呑酸が生じる。

ストレスや精神的刺激により症状が誘発されることが特徴。口が苦い・のどが渇く・怒りっぽい・お腹が脹るなどの身体症状が出現する。

②飲食積滞(いんしょくせきたい)による呑酸

いわゆる食べ過ぎ。飲食の不摂生は消化器の活動を低下させてしまう。

「胃」における飲食物の消化・小腸への輸送する力双方が低下してしまった結果、呑酸が生じる。

食物の臭いがするゲップを伴うことが特徴。お腹の張り感・吐き気・嘔吐など食べ過ぎを想起させる身体症状が出現する。

③寒湿内阻(かんしつないそ)による呑酸
冷えや余剰水分が消化器に生じることが原因。生物や冷たい物の摂りすぎ、湿度の強い環境で長時間過ごすことなどにより生じる。生じた冷えや余剰水分は消化器の機能の低下をさせ、胃の消化・輸送する力が低下した結果、呑酸がおこる。お腹が冷えると症状が悪化し、温めると軽減することが特徴。食欲不振・胸腹部のつかえ感が生じるなどといった身体の症状が現れる。

スタッフ 杉本

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