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2021/6

今日は新宿医療さんでの講義。

昨年に続き2年目。

僕の場合は主に3年生(最終学年)か教員養成科(2年生)を担当することが多い。

ほとんどがゲスト講師みないな位置づけなので4〜15コマ(1コマ90分)程度。

今回は問診学穴性学痛みに対する技術論補寫論と主要穴の打ち方の順で進める。

学生と市井の臨床家の違いはいわばアマとプロの違い。

技術もさることながら圧倒的にスピード感が異なる。

適宣するツボを探す時間、鍼が決まるまでの時間(必要な響きが出るまでの時間)、分析する時間、方針を決めるまでの時間が圧倒的に学生は長い。

学生のうちからこの辺りを意識しなければ、現場では残念だが無用の長物と化してしまう。

是非に学生にはスピード感を意識しながら患者さんに益する臨床家に育って欲しいと思う。

個人の力は及ぶ範囲が限られている。

しかしそんな個人でも、その個人の数が増えれば、かなり広域な範囲を網羅できる。

ここが教育の役割である。

※新着時期を過ぎると《論文&講義》に収められています。

さくら堂ブログ38 「耳鳴り・難聴」

最近スーパーのレジ袋がなかなか開けられない研修生の大久保です。梅雨に入り湿気もあるのに

どうしてですかね?

さて、今回は私も治療する機会が多い『耳鳴り・難聴』についてお話しさせて頂きます。

「耳鳴りと難聴は違う症状じゃない?」と思った方!勘が鋭いですね^^ただ、中医学では同じ原因で

起こる為、一緒に説明する事が多いです。似た症状で『脳鳴』『頭鳴り』というのがあるのですが、

これは原因が違いますのでご注意ください。

1.風熱タイプ

 症状:突然起こる、片側の場合あり、風邪が吹くような音がする、鼻水や鼻づまり

2.肝火上炎タイプ

 症状:突然起こる、耳の脹痛、全く聞こえない場合あり、ベル・雷・波の音がする

3.肝陽上亢タイプ

 症状:徐々に聴力減退、耳鳴りは日によって強弱がある、めまい、物忘れ、目の乾き

4.肝血虚タイプ

 症状:耳鳴り日によって強弱し特に午後は大きい、めまい、夢を多く見る、セミが鳴いているよう

5.痰火タイプ

 症状:両耳がザワザワ・カサカサ鳴る、耳の詰まった感覚、頭のふらつき、痰が多い

6.気滞血おタイプ

 症状:突然起こる、固定性の刺すような痛み、精神的ショックや外傷術後に多い

7.腎陰虚タイプ

 症状:徐々に聴力減退、音の小さな耳鳴り、寝汗

8.腎陽虚タイプ

 症状:徐々に聴力減退、音の小さな耳鳴り、四肢の冷え 

9.心腎不交タイプ

 症状:大きな音の耳鳴り、胸がムカムカする、不眠

10.脾気虚タイプ

 症状:肉体疲労によって難聴悪化、お腹がはる、無力感

いかがでしょうか。とにかく多いですね(笑)

ただ判断材料は多いので、耳鳴り・難聴にお困りで受診する際は以下の項目を思い出しながら

問診の役に立ててください。

いつ頃から起きたか 一日で変動はあるか 鼻の症状はあるか 耳の痛みはあるか 寝汗はかくか

眠れているか 胸のムカつきはあるか どのような音がするか 疲れやすいか 目のかすみはあるか

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《耳鳴り》に収められています。

習慣性流産を東洋医学では「滑胎」・「数堕胎」という。

連続して3回以上自然に流産するものをいい、不育症の大半を占める。

多くは腎虚・気虚・血熱・外傷などの原因によって起こる。

①腎気不固滑胎

気の作用として「物質を一定位置に留めておく」ものがある(固摂作用)。

妊娠中においては、子宮内に胎児を留める役割を有する。

五臓の「腎」の不調により、胎児を子宮内に留めておく力が弱くなってしまうため滑胎が生じる。

歳を重ねることや過剰な性生活が原因となることが多い。

身体的な症状としては、妊娠後膝腰が重だるくなる・眩暈耳鳴り・排尿回数が増えるなどが出現する。

②脾胃気虚滑胎

胎児に十分なエネルギーや栄養物質が供給されないことが主な原因となる。

消化器の失調によることが多い。飲食物を消化・吸収する力が低下し胎児が育つのに必要な量を取り込めない結果、滑胎が生じる。

飲食の不摂生他、働き過ぎや考えすぎも原因となる。

身体症状として、顔は黄色くわずかにむくむ・精神疲労・声は小さくボソボソと話す・食欲はあるが食べられない・下痢傾向などが現れる。

③相火妄動滑胎

子宮内に熱が生じ、エネルギー・栄養分・水分などを損傷させることが主な原因となる。

熱を生みだす原因としては、人の情欲が亢進して欲望が思うように満たされないことや過剰な性生活が挙げられる。

身体症状として、両方の頬は赤い・口が乾き飲み物を飲みたがる・膝腰の痛み・陰部より出血などが出現する。

④虚寒相博滑胎

子宮の冷えにより胎児が生命活動を行う上で必要な栄養・体温が奪われることが原因となる。

冷え体質であること。その他、寒冷な環境が母親の体内に侵襲し、子宮に達することで生じる。また虚弱な体質であるほど、外的気候の影響(ここでは寒冷刺激)を受けやすいとされている。

身体症状としては、下腹部が冷え痛む・手足の冷え・膝腰が重だるい・下痢・尿の色は淡く量は多いなどが現れる。

⑤外傷滑胎

外傷による滑胎。躓きこけるなど妊娠後明らかな外傷歴がある。

①〜④と比較し明確な原因があるために鑑別しやすい。陰部からの出血が見られる。

スタッフ 杉本

◎参考文献

「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社

「漢方用語大辞典」 燎原出版社

「病気がみえる 産科 第2版」 メディックメディア

※新着時期を過ぎると左サイドバー《妊娠中/産後の諸症状》に収められています。

家の前の空き地が一日にして二階建て一軒家の木材が組まれたので、その驚きを建設関係の知人に

話したら「一日で終わらせないと重機とかのレンタル料で割に合わなくなるんだよ。いっぱい助っ人も

いたでしょ?その人に日当出しても一日で終わらせた方が得なんだよ。」と言われました。

確かに屈強な職人さんが4〜5人で一気に組み上げていたのを思い出し、感動の裏にはそんな現実が

あったんだなぁと本質を知った研修生の大久保です。

さて、今日はそんな本質を交えてお伝えしようとする内容が「オーツ麦」です。

最近の健康ブームで何かと話題になっているのですが、間違った食べ方をして健康被害も多々あるよう

なので、東洋医学を交えてお伝え致します。

まず、このオーツ麦ですが、イネ科の穀物で別名を「燕麦(えんばく)」「オートミール」「オート麦」

「オート」と呼びます。皆さんが聞き馴染みのあるものだと「グラノーラ」も元々はこのオーツ麦を

加工しているものです。これが何故話題になっているのかというと、玄米より食物繊維やたんぱく質、

ビタミンが豊富で少量でもお腹を満たせるのでダイエット食として注目を集めています。

食べ方はシリアル食品のように牛乳をかけたり、レンジでふっくらパンのようにしたり、お粥のように

煮たりと色々とアレンジができて毎日でも食べられるようなのですが、調べてみると「げっぷが出る」

「便秘になる」「肌荒れする」「浮腫む」などの悪影響があるようなので、中医学を交えながら

ご説明致します。

ではまずオーツ麦の効能から見てみましょう。

四気五味 :甘味 平属性

帰経   :脾胃

効果   :活血理気 補益脾胃 滑ちょう催産 降胆固醇 益肝和胃 潤腸通便

何となく分かりますか?漢字を使う日本に生まれて良かったと思える瞬間ですね(笑)

大まかに説明しますと、オーツ麦は温にも寒にも属さず、脾胃を調整し、便通を良くするとなります。

また、「降胆固醇」とはコレステロールを下げるという事で、「催産」とは難産の際に食べる事で

分娩を促す作用があると中国の古典『本草綱目(ほんぞうこうもく)』に記載されています。

「こんなに良いことばかりなのに何で悪影響が出るの?」

と、思いますよね!これは食べ方に問題があるのだと考えられます。

ただでさえ穀物で消化に時間がかかる食べ物なのに、冷たい牛乳や三食全てをオーツ麦にしてしまったら

胃から腸に流れず滞ってしまう『食滞』が起きます。そうなってしまったら胃の気が逆流して『げっぷ』

が起きますし、たとえ流れたとしてもその後の食物の流れを遅くしてしまい『便秘』になります。

また、冷たいものと一緒に摂ることで脾の陽気を不足させたり、傷つけてしまえば湿や痰が生じ、

『肌荒れ』『浮腫み』が出たり、逆に体重が増加する可能性もあります。

いかがだったでしょうか?ちょっと面倒ではありますが、本質を調べると色々な事が分かって、何に

気を付ければ良いのかが分かると思います。「コロナで運動できないから食べ物で痩せるっ!」と

お考えの方はご参考にしてみてください。

我が家の4.5kgオーツ麦

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《みんなのブログ》に収められています。

電車で座っている時の事なのですが、シートにいた自分以外の人が一斉に降りてしまい、何とも言えない

一人ぼっち感を味わった研修生の大久保です。

さて、今回は皆さんも普段何気なくしている「あくび」についてご紹介したいと思います。

もちろん寝不足や疲労時に出るあくびは正常な生理現象なのですが、頻繁に起こったり、下記の随伴症状

が伴った場合は中医での証が確定する場合があります。

1.肝気鬱結タイプ

 症状 :あくびがハッキリ力強い、胸苦しい、喉の閉塞感、左右の下腹や胸肋部の脹痛

2.気滞血おタイプ

 症状 :あくびがハッキリ力強い、腹部の刺痛、喉が渇くが飲みたくない、胸がムカムカする

3.脾腎陽虚タイプ

 症状 :音が小さく弱弱しい、寒がり、下痢気味、倦怠感

今回もタイプは少なめですね!共通するのは胸周辺の滞りを解消しようとしてあくびが出るという

事です。緊張した時に頻発するあくびは1が原因かもしれませんね。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

お疲れ様です、杉本です。

大和市もついに梅雨に突入しましたね。今日も昼頃急に雨が降ってきました。

私は今の「ジメジメした気候」が非常に苦手です。

最近テレビでも「気候病」という言葉が流行しているみたいですが、湿度が高い環境は私たちの体調に影響を及ぼします。梅雨時期になんだか身体が重だるい経験をしているのは私だけではないのでししょうか?

以下、東洋医学的にどうして身体が重だるくなるのかを解説致します。

●身体が重だるい=「身重」

身体が重だるいこと・身体が重だるくて動かしづらいことを中医学では「身重」といいます。

この身重が生じる原因としては、主に「湿」が関与しているとされている。

●「湿」とは?

湿は、体内の正常な水液物質(津液)が停滞することで生じる。

粘稠性が高く粘々したイメージ。特徴としては、ネバネバしている・粘稠性が高いため停滞する・重いといった点が挙げられる。ゆえに体内に「湿」が生じることは体の重だるさとして現れる。

体内に湿が生じる原因としては、「五臓六腑のトラブル」・「気候を感受すること」が原因とされる。

●梅雨時期の身重について

①風水における身重

多湿な環境が主な原因となります。人間には気候の影響を受けないように体表面にバリアをまとっていると漢方的には考えられています。しかし、体表面の気の量が少ないこと・体表面の気の巡りが悪いこと・そもそもの気の総量が少ないことが原因で、気候の影響を受けやすくなってしまうことがあります。つまり気候由来の「湿」を安易に体内に取り込んでしまうのです。

陰天時に悪化することが特徴として挙げられます。その他、頭を包み込むような痛みや重だるさ・鼻が塞がる・風を嫌がるなどの身体的な症状を見られることが多い。

②脾虚湿困による身重

消化器の機能失調に由来する。身体の水液代謝と輸送に密接にかかわっている消化器の機能が低下することで、水液が停滞し「湿」が生み出される。主な原因としては食生活の乱れ、疲労、考えすぎが挙げられる。身体の重だるさは比較的長く続くことが特徴。その他、心身疲労・食欲不振・口の中の粘り感・下痢・むくみなどの身体症状を見られることが多い。

さらにこの体内の湿(②)と気候の湿(①)は結びつきやすいという性質がある。

つまり、消化器が弱く体内に「湿」を生み出している人は気候に存在する「湿」を取り込みやすい。

反対も成り立ち、「湿」が多く存在する気候では消化器の機能低下をもたらす。

上記が解説となりますが、いかがだったでしょうか?

私は梅雨時期以外にも長時間水を使ったお風呂掃除を行ったことで同様の身重感に見舞われたことがございます。(ちなみに消化器は弱い体質です)。

このような病気ではない身体の不調も鍼灸治療の治療対象です。

私のように梅雨時期に体調がすぐれない方、是非一度ご相談くださいませ。一緒につらい時期を乗り越えていきましょう!

スタッフ 杉本

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

●脳鳴とは?

頭の中で音が鳴り響くする症状をさす。耳鳴りと症状が似ているが、耳ではなく頭の中で鳴り響くような感覚が生じる。

多くは髄海の虚衰・湿痰などによって起きるとされる。

①髄海不足による脳鳴

髄海はいわば脳を指す。頭蓋腔内の髄質を指すが、髄が集まることで脳が形成されている。脳の発達には精の貯蔵庫である「腎」が密接に関与しており、精と腎が髄を生み出している。

腎精が不足してしまうと、脳が滋養できなくなってしまい脳鳴が生じる。

加齢・虚弱体質であること・長い間病気を患うこと・大病を患うことが腎精を損なう原因となる。

膝腰の重だるさ・眩暈・耳鳴り・もの忘れなどの症状が出現する。

②心脾両虚による脳鳴
栄養不足により頭部に栄養分を供給できないことが原因となる。働き過ぎ・飲食の不摂生による消化器の機能低下や考えすぎ・心配事が続くなどによる精神疲労が栄養不足を招く。
睡眠時間が短くなる・夢を多く見る・疲労倦怠感・動悸・下痢・むくみなどの症状が見られる。


③湿熱阻滞による脳鳴
頭部へのエネルギー運搬ルートに滞りが生じることが原因となる。

油濃いもの・味の濃いもの・アルコールの過剰摂取は体内に余剰な水分や熱を生み出す。

これら消化器に生じた熱は上に昇る。昇った熱は頭部へのエネルギー運搬ルートを停滞させてしまった結果脳鳴が生じる。頭や身体が重だるい・めまい・吐き気・下痢などの症状が見られる。

④肝気欝結による脳鳴

頭部内・頭部へのエネルギーの運搬がスムーズでないことが原因となる。

エネルギーの運搬をコントロールと五臓の「肝」が担っている。

肝の機能低下が低下することで、エネルギーの運行が停滞してしまう。機能低下は精神抑鬱や大きな精神刺激により生じることが多い。怒ると悪化するという特徴を有し、その他、胸肋部の張り感・よくため息をつく・口が苦く咽が乾くなどの症状が見られる。

スタッフ 杉本

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

20121/6

臨床中に意識する一つが病理の伝播ルート。

たとえば肝の病理が隣り合う脾に伝播すると肝脾不和。

ストレス性胃炎などで良く見られる。

脾の運化失調が続くと腎気の力が低下する脾腎両虚。

疲労症候群の定番。

どちらも相克関係による伝播ルート。

相性が肝心脾肺腎の順に並ぶので相克は肝脾腎心肺となる。

これは素問により起こり、難経で定番となるルートであるが、同じ素問でも別ルートの記載もある。

細かすぎて誰も聞きたくないだろうが、僕はそのルートも意識している。

さすがは古典の中の古典といわれる素問、頭を垂れるしかない。

600年近くかけて練られただけのことはある。

ときおり引っ張り出すと色々な臨床のヒントを与えてくれる。

ときには古典も読むべきだろうね。

※新着時期を過ぎると左サイドバー《臨床のお話》に収められています。

引っ越しをした先が撮影スタジオに近いせいか時々ドラマか何かの撮影をしています。

それを「何だ?騒がしいなぁ」という表情と「誰か知っている俳優さんいないかなぁ」という気持ちの

温度差で野次馬しているのを楽しんでいる研修生の大久保です。実際はミーハーな気持ち100%です。

さて、今回は私も時々なる『胸やけ』についてお話ししたいと思います。

中医学では『そう雑』と呼ばれ、「胃部周辺の不快感。空腹のようで空腹でなく、痛いようで

痛みはない。胸のむかつき、呑酸、げっぷ、空えずき」など全てをそう雑の一種だと考えられていたそうです。

面白いですねぇ。この「空腹のようで…」や「痛いようで…」みたいな何となく感。

ただ、これこそが中医学の良いところですね!体調が大きく変化する前に戻す。健康な状態の範囲内に

修正する。まさに『未病治』だと思います。

脱線してしまいましたが、この『そう雑』は大きく分けて(熱・寒・傷・肝)の4タイプになります。

当てはまるものがあるか症状も見ながら確認していきましょう。

1.傷食タイプ

 症状 :呑酸、むかつき、吐き気、胃部の張り、口臭、大便臭が酸っぱい、吐くと楽になる

 ※ 原因が暴飲暴食や不衛生なものの摂取なので、食あたりに近い状態でしょうか。

   胃に収められたものが上手く消化されず降りていかない為に逆流してしまいます。

2.胃熱タイプ

 症状 :胃の中がヒリヒリや酸が染みたように熱い、呑酸、日中は無いが早朝に吐き気がする

     便秘、舌が黄色い

 ※ 辛い、濃いものの食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎにより胃気が停滞して熱化してしまう。

   黄色い舌や便秘が熱証のサインとなります。

3.胃寒タイプ

 症状 :生唾が溢れる、胃部が冷えたようなツーンとした痛み、暖かいものを摂取すると軽減す

     食欲不振、顔色が悪い

 ※ 原因によって虚証と実証に分かれるようですが、胃寒そのものの治療はどちらもほとんど変わり

   ません。虚証であればこれに補気や健脾を加えます。

4.肝胃不和タイプ

 症状 :呑酸、胸のむかつきや張り、胸肋部痛、口の中が苦い

 ※ 胸肋部痛と口苦は肝証のツートップみたいなものですね!精神的なストレスによって肝気が

   うっ滞し、胃にも影響が出た為です。ここから痰が発生すると頭重感やめまいが見られる

   ことがあります。

昔から『医食同源』という言葉がありますが、せっかく良いものを摂取しても、吸収してくれる場所が

機能しなければトイレで流れてしまうだけですよね(>_<)

「何となく胸がムカつく」や「空腹なようで空腹でない」場合は消化器が疲れているサインかもしれません。

また、胃や脾だけでなく、身体全体が疲れている場合も同様の症状が出る場合もあります。

季節の変わり目で少しずつ調子を崩す期間にもなりますので、身体の声にいつもより多く耳を傾けて

あげましょう。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。

嘔吐は、胃の内容物を吐出することを指す。先日解説した悪心を伴うことが非常に多い。

「胃」は五臓六腑のひとつに該当し、飲食物の初期消化を担っている。

胃の機能低下により、嘔吐が出現するが、まずは胃のはたらきを見ていきたい。

●胃の機能(はたらき)について●

口から摂取した飲食物を「①受け入れ(受納)」・「②消化(腐熟)して」・「③小腸へ輸送する(降濁)」ことが「胃」のはたらきである。この3つの作用がいずれかが低下することで消化器の不調症状として出現する。

●嘔吐の原因について(胃の機能低下)●

消化器の不調として嘔吐は「口から摂取した飲食物を出す」ということが特徴として挙げられる。

上述の通り、「①受納」・「②腐熟」・「③降濁」の3つのはたらきが低下することで生じる。

まずは「①受け入れ(受納)・②消化(腐熟)能力」の低下から考えてみたい。

食べ物を受け入れる容量が少なくなるためにキャパシティーオーバーを起こすことで口から出てしまうことが考えられる。消化能力が低下することは飲食物が未消化の状態で排出することも考えられる。

次に「③降濁」の低下の視点から述べる。

通常飲食物の流れは「口→胃→小腸」という下方向のベクトルが低下して「胃→口」と逆方向のベクトルへ作用することによって生じる。また漢方の熱の炎上性(上に昇る)という特性も逆方向のベクトルを生じさせるものとなる。

これらの内容を踏まえて、「何が原因」で胃の働きが悪くなるのかの解説を行っていきたい。

●「嘔吐」についての東洋医学的6分類

中医書の記載によると「気候の影響を受けたもの」「食べ過ぎ含む胃の機能が低下したもの「ストレス」が大きな分類として挙げられる。

①外邪干胃による嘔吐(気候タイプ)気候が影響するタイプ。口から胃へ高温・湿気・冷えなどの環境が原因で胃のはたらきを低下させることにより生じる。

一例として、浴室など湿気が強い環境で長時間作業していると嘔吐してしまうなどが挙げられる。

何が胃のはたらきを低下させる原因であるかによって、嘔吐の様子や内容物に違いが生じる。

熱によるものは嘔吐の勢いが激し、冷えタイプは未消化物や水様のものを嘔吐する。

全身的にも、熱タイプは発熱症状(発熱・強い頭痛)や冷えタイプは風邪の初期症状(発熱・悪寒・軽度の頭痛)などが出現する。

②傷食による嘔吐(暴飲暴食タイプ)

暴飲暴食や不衛生な飲食物を口にすることにより胃がダメージを受けたことで生じる。

忘年会での食べ過ぎ飲み過ぎで吐いてしまうのがこのタイプに該当する。

嘔吐症状以外に、臭気の強いげっぷが出たり・飲食物を見るのも嫌になることが特徴。

上腹部の張り感が強く・吐くとスッキリするという症状も。

③胃寒による嘔吐(冷えタイプ)
胃の冷えてしまいはたらきが悪くなっていまうことが原因となる。体を冷やすものの(冷たいもの、生もの)の食べ過ぎ・もともとの体質や加齢により体を温める力が弱くなることなどにより生じる。
嘔吐は少量であること・お腹を冷やすと悪化し温めると嘔吐が楽になることがこのタイプの特徴である。冷えのため水っぽい便を排出するといった症状も出現しやすい。

④胃熱による嘔吐(熱タイプ)胃に熱が生じてしまい過活動状態となることが原因。辛い者や味の濃い者の食べ過ぎ、飲酒過多が熱を生じさせる原因となる。熱は上に昇るという特性のもと、胃から口方向へと従来とは逆方向の力がはたらくため嘔吐が生じる。嘔吐の勢いが激しい・口の中が苦いなどの症状を伴う。

⑤胃陰虚による嘔吐(乾燥・栄養不足タイプ)胃の栄養成分や保湿成分が損傷されることにより生じる。胃の栄養状態の低下・潤い不足は胃の慢性病を患っていることや発熱後などに生じる。繰り返し嘔吐の発作が生じることがこのタイプの特徴。

未消化の固形物が出たのちに液体を嘔吐、さらにひどければ胆汁を嘔吐することもある。潤いが不足しているために、のどの渇きなどの乾燥症状も伴う。

⑥肝胃不和による嘔吐(ストレスタイプ)ストレスや精神抑鬱など気持ちの部分が胃のはたらきを低下させる。緊張しすぎて吐いてしまうイメージ。ストレスの重さによって症状が変化し、軽度のストレスであれば吐き気を催す程度であるが、ピークに達することで嘔吐してしまう。ストレスの原因から解放されると吐き気・嘔吐は収まる。

いかがだったでしょうか?

「嘔吐」一症でもいろいろな種類があることがわかったと思います。

原因を把握することで、どのように養生すればいいのかもヒントを得ることができます。

(例えば「冷え」が原因であれば、冷たい飲み物や体を冷やす食べ物は避ける・あたたかいものを当日は食すなど)

原因がわからない…といった場合はぜひ一度当院にご相談ください。

治療はじめ、あなたの身体にあった養生法をお伝えいたします。

スタッフ 杉本

※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。

「悪心」とは心持ちが悪く吐き気を催す感じ・むかつきを指すらしい。

吐き気を感じるのに吐けない状態でもあり、「泛悪(はんお)」とも言われる。

●悪心が生じる原因について

悪心は、「胃」の機能の低下が大きな原因として考えられる。「胃」の機能は「①口から入った飲食物を受け止めること(受納)」・「②飲食物を消化すること(腐熟)」・「③小腸へ移送すること(降濁)」を担っている。

気候・飲食など何かしらの原因が「胃」に悪影響を及ぼすか、また他の五臓六腑が「胃」に作用することで悪心が生じるとされる。

以下、中医書に記載されている5パターンを解説していきたい。

●「悪心」についての東洋医学的分類 

主に「胃に冷え・熱が生じたもの(①・②・③」・「ストレス④」・「食べ過ぎ⑤」によるものが挙げられる。

①胃寒による悪心(いかん・冷えタイプ)

冷えにより胃のはたらきが悪くなったことが原因となる。寒冷な環境に身を置くことなどの「気候」・冷たいもの、生ものの食べ過ぎなど「生活習慣」が冷えを生じさせる原因となる。胃の食物を受け入れる能力・初期消化能力が低下することにより、悪心が生じる。あたたかいものを摂取したり、おへそ上を温めることで症状が楽になることが多い。

②胃熱による悪心(いねつ・熱タイプ)熱により胃のはたらきが悪くなること(ここでは過活動状態も含まれる)が原因となる。高温な環境などの「気候」・辛い者や味の濃い者の食べ過ぎなどの「生活習慣」が熱を生じさせる原因となる。灼熱感を伴う胃の痛みを伴うこともあり、熱の上に昇るという特性上、口臭が強くなるという特徴もある。

③胃陰虚による悪心(いいんきょ・渇きタイプ)栄養状態の低下や潤い不足により胃が滋養されないことが原因となる。発熱による身体の水分を損傷したこと・慢性的な胃の疾病を患うことが濡養不足の原因となる。胃のはたらきが低下していることから食欲不振や食べてもすぐに吐いてしまうといった症状がみられる。渇きが強いため、口の中が渇き・水分を欲することが特徴である。

④肝胃不和による悪心(ストレスタイプ)五臓「肝」の失調が「胃」に影響を及ぼすことが原因なる。「肝」は全身のはたらきをコントロールする役割を有している。ストレスや精神抑鬱状況が長期間続くなど精神面が「肝」機能の低下をもたらし、「胃」のはたらきまで波及することで悪心が出現する。お腹の張り感・食欲がなくなるといった症状を伴うことが多く、ストレスから解放されると悪心がおさまってくるといった特徴がある。

⑤傷食による悪心(暴飲暴食タイプ)暴飲暴食が原因。胃が疲れてしまうことで悪心が生じる。何も食べたくないし、匂いも嗅ぐのも嫌になるのが特徴か。本人自身も原因に心当たりがあることが多い。

5つのパターンを紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

「胃」のはたらきが悪くなることが原因ですが、どのような原因が胃のはたらきを悪くしているのかで出現する症状が異なってくることが分かってくるかと思います。

私たちは皆様のお話を通じて、かつ脈やお腹・舌の状況を確認させていただいて原因を特定し治療を進めております。

症状の軽減ないし、再発防止のためのお手伝いも行いますのでお困りの方はぜひ。

スタッフ 杉本

◎参考文献◎

広辞苑』 岩波新書

『中医症状鑑別診断学』 人民衛生出版社

※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。

先日解説した「癲(てん)」。今回解説する「狂(きょう)」とともに精神錯乱の疾病を指す。

「癲」は精神抑鬱・無表情・独りを言うなどの症状が見られるが、

狂はイライラした興奮状態・奇声を発する・人をののしるなど粗暴にふるまう・奇妙な行動をとる(屋根に上ったりする)といった症状が見られる。

抑鬱状態である癲に対して、狂は興奮状態である。

陽気が盛んになり、精神活動に影響が及ぶことが「狂」の発症原因とされている。

以下、解説に移っていきたい。

①痰火狂

「痰」と「火」が結びつき、心および精神活動に悪さをすることが原因となる。

「痰」は身体内の水液物質が停滞することで生じる。これは思慮過多などによって五臓の「脾」の機能が低下することによって起こる。

「火」については、激怒などの急激な感情変化や長期間の抑鬱状態により生じる。

症状は、発症が急激・イライラ・頭痛・顔面紅潮・目の充血・不眠・食欲不振・睡眠障害などが見られる。

②陰気傷狂

「気」や「陰」が不足することが原因。「陰」は身体の潤い成分を指しており、不足することで体内に微弱な熱を生じさせる。生じた熱が上に昇り、心および精神活動に影響を及ぼす。陰の不足は慢性病などによって生じる。

症状は、身体は痩せており弱弱しい・時折煩躁がある・精神状態は疲弊・言葉数が多い・驚きやすい・顔が赤いなどが見られる。

③陽明熱盛狂

胃に熱が生じたことが原因となる。熱が心に入り精神を昏迷させることで生じる。

症状としては、衣服を脱いで走り回る・高いところに上って歌を唄うなど奇行に走る・数日何も食べない・お腹が張って横になりたがらない・小便が黄色いなどが見られる。

④肝胆鬱火狂

熱が心に入り精神を昏迷させることで生じる。過度な精神刺激は五臓の「肝」が担う「気」の運搬を停滞させる。長期間停滞することで熱が生じ、熱が上部(心)に昇ることが狂の原因となる。

症状としては、発語が流暢でない・おどおどして落ち着かない・胸肋部の張り・怒りっぽいなどの症状がみられる。

⑤オ血内阻狂

「熱」と「血」が結びつき、上に昇って心および精神活動に影響を及ぼすことが原因となる。

「熱」は気候由来の熱を感受し、体内に侵入することにより生じる。

「血」は体内の血液が停滞し流れないことにより生じる。

症状としては、精神が落ち着かない・休みなくしゃべるかと思えば時には黙り込む・下腹部は脹り固い・押されると苦しいなどが見られる。

スタッフ 杉本

※新着時期を過ぎると左サイドバー《神経症/鬱/自律神経失調症など》に収められています。

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受付時間:9:30~18:30
休診日:水曜日・金曜日・日曜日・祝日

不妊症や生理痛、陰部神経痛、腰痛、坐骨神経痛などでお悩みの方は神奈川県大和市のさくら堂治療へ。ぎっくり腰、椎間板ヘルニア、五十肩、膝痛、寝違えなど、急性期の治療も対応します。

診療日※(予約優先)                              

 
10:00~12:00 受付
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※このホームページは鍼灸治療のほか医学、歴史、地域、時事、感情の動き、院内の出来事などを読み物風として仕上げております。雑誌を読む感覚でお使いくだされば楽しいかと存じます ~スタッフ一同より~

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鍼灸さくら堂治療院

住所

〒242-0021
神奈川県大和市中央3-8-26
杉中央ビル1階

アクセス

相鉄線・小田急線大和駅相鉄口下車、徒歩6分。
駐車場駐車場完備。
瀬谷、三ツ境、相模大野、さがみ野、鶴間、南林間、桜ヶ丘、高座渋谷からもお近くです。

営業時間

9:30~18:30

定休日

水曜日・金曜日・日曜日・祝日

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