5月も終わりましたね

なんだかんだで5月も終わりました。

今月不思議だったのは新患さんの半数以上が他の鍼灸院さんからのご紹介の患者さん。

ときおりご紹介は頂きますが、半数以上の方となると開院以来初めてのことです。

ただ、こういうケースは難しい治療になりがち。

脈がとかく変わった方とか、その症状なら長期戦とか、いろいろです。

とにかくこの歳になっても毎日が勉強です。

梅雨に負けずに楽しい波長に合わせながら日々を過ごしたく思います。

 

狂(きょう)について

先日解説した「癲(てん)」。今回解説する「狂(きょう)」とともに精神錯乱の疾病を指す。

「癲」は精神抑鬱・無表情・独りを言うなどの症状が見られるが、

狂はイライラした興奮状態・奇声を発する・人をののしるなど粗暴にふるまう・奇妙な行動をとる(屋根に上ったりする)といった症状が見られる。

抑鬱状態である癲に対して、狂は興奮状態である。

陽気が盛んになり、精神活動に影響が及ぶことが「狂」の発症原因とされている。

以下、解説に移っていきたい。


@痰火狂

「痰」と「火」が結びつき、心および精神活動に悪さをすることが原因となる。

「痰」は身体内の水液物質が停滞することで生じる。これは思慮過多などによって五臓の「脾」の機能が低下することによって起こる。

「火」については、激怒などの急激な感情変化や長期間の抑鬱状態により生じる。

症状は、発症が急激・イライラ・頭痛・顔面紅潮・目の充血・不眠・食欲不振・睡眠障害などが見られる。


A陰気傷狂

「気」や「陰」が不足することが原因。「陰」は身体の潤い成分を指しており、不足することで体内に微弱な熱を生じさせる。生じた熱が上に昇り、心および精神活動に影響を及ぼす。陰の不足は慢性病などによって生じる。

症状は、身体は痩せており弱弱しい・時折煩躁がある・精神状態は疲弊・言葉数が多い・驚きやすい・顔が赤いなどが見られる。


B陽明熱盛狂

胃に熱が生じたことが原因となる。熱が心に入り精神を昏迷させることで生じる。

症状としては、衣服を脱いで走り回る・高いところに上って歌を唄うなど奇行に走る・数日何も食べない・お腹が張って横になりたがらない・小便が黄色いなどが見られる。

 

C肝胆鬱火狂

熱が心に入り精神を昏迷させることで生じる。過度な精神刺激は五臓の「肝」が担う「気」の運搬を停滞させる。長期間停滞することで熱が生じ、熱が上部(心)に昇ることが狂の原因となる。

症状としては、発語が流暢でない・おどおどして落ち着かない・胸肋部の張り・怒りっぽいなどの症状がみられる。

 

Dオ血内阻狂

「熱」と「血」が結びつき、上に昇って心および精神活動に影響を及ぼすことが原因となる。

「熱」は気候由来の熱を感受し、体内に侵入することにより生じる。

「血」は体内の血液が停滞し流れないことにより生じる。

症状としては、精神が落ち着かない・休みなくしゃべるかと思えば時には黙り込む・下腹部は脹り固い・押されると苦しいなどが見られる。

 

スタッフ 杉本

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《神経症/鬱/自律神経失調症など》に収められています。

胸やけ

引っ越しをした先が撮影スタジオに近いせいか時々ドラマか何かの撮影をしています。

それを「何だ?騒がしいなぁ」という表情と「誰か知っている俳優さんいないかなぁ」という気持ちの

温度差で野次馬しているのを楽しんでいる研修生の大久保です。実際はミーハーな気持ち100%です。

 

さて、今回は私も時々なる『胸やけ』についてお話ししたいと思います。

中医学では『そう雑』と呼ばれ、「胃部周辺の不快感。空腹のようで空腹でなく、痛いようで

痛みはない。胸のむかつき、呑酸、げっぷ、空えずき」など全てをそう雑の一種だと考えられていたそうです。

 

面白いですねぇ。この「空腹のようで…」や「痛いようで…」みたいな何となく感。

ただ、これこそが中医学の良いところですね!体調が大きく変化する前に戻す。健康な状態の範囲内に

修正する。まさに『未病治』だと思います。

 

脱線してしまいましたが、この『そう雑』は大きく分けて(熱・寒・傷・肝)の4タイプになります。

当てはまるものがあるか症状も見ながら確認していきましょう。

 

1.傷食タイプ

 症状 :呑酸、むかつき、吐き気、胃部の張り、口臭、大便臭が酸っぱい、吐くと楽になる

 ※ 原因が暴飲暴食や不衛生なものの摂取なので、食あたりに近い状態でしょうか。

   胃に収められたものが上手く消化されず降りていかない為に逆流してしまいます。

 

2.胃熱タイプ

 症状 :胃の中がヒリヒリや酸が染みたように熱い、呑酸、日中は無いが早朝に吐き気がする

     便秘、舌が黄色い

 ※ 辛い、濃いものの食べ過ぎ、アルコールの飲み過ぎにより胃気が停滞して熱化してしまう。

   黄色い舌や便秘が熱証のサインとなります。

 

3.胃寒タイプ

 症状 :生唾が溢れる、胃部が冷えたようなツーンとした痛み、暖かいものを摂取すると軽減す

     食欲不振、顔色が悪い

 ※ 原因によって虚証と実証に分かれるようですが、胃寒そのものの治療はどちらもほとんど変わり

   ません。虚証であればこれに補気や健脾を加えます。

 

4.肝胃不和タイプ

 症状 :呑酸、胸のむかつきや張り、胸肋部痛、口の中が苦い

 ※ 胸肋部痛と口苦は肝証のツートップみたいなものですね!精神的なストレスによって肝気が

   うっ滞し、胃にも影響が出た為です。ここから痰が発生すると頭重感やめまいが見られる

   ことがあります。

 

昔から『医食同源』という言葉がありますが、せっかく良いものを摂取しても、吸収してくれる場所が

機能しなければトイレで流れてしまうだけですよね(>_<)

 

「何となく胸がムカつく」や「空腹なようで空腹でない」場合は消化器が疲れているサインかもしれません。

また、胃や脾だけでなく、身体全体が疲れている場合も同様の症状が出る場合もあります。

 

季節の変わり目で少しずつ調子を崩す期間にもなりますので、身体の声にいつもより多く耳を傾けて

あげましょう。

 

研修生 大久保昌哉

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《胃腸の不調》に収められています。

病理の伝播

20121/6

臨床中に意識する一つが病理の伝播ルート。

たとえば肝の病理が隣り合う脾に伝播すると肝脾不和。

ストレス性胃炎などで良く見られる。

脾の運化失調が続くと腎気の力が低下する脾腎両虚。

疲労症候群の定番。

どちらも相克関係による伝播ルート。

相性が肝👉心👉脾👉肺👉腎の順に並ぶので相克は肝👉脾👉腎👉心👉肺となる。

これは素問により起こり、難経で定番となるルートであるが、同じ素問でも別ルートの記載もある。

細かすぎて誰も聞きたくないだろうが、僕はそのルートも意識している。

さすがは古典の中の古典といわれる素問、頭を垂れるしかない????????

 

600年近くかけて練られただけのことはある。

ときおり引っ張り出すと色々な臨床のヒントを与えてくれる。

 

ときには古典も読むべきだろうね。

 

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《臨床のお話》に収められています。

 



脳鳴とは

●脳鳴とは?

頭の中で音が鳴り響くする症状をさす。耳鳴りと症状が似ているが、耳ではなく頭の中で鳴り響くような感覚が生じる。

多くは髄海の虚衰・湿痰などによって起きるとされる。

 

@髄海不足による脳鳴

髄海はいわば脳を指す。頭蓋腔内の髄質を指すが、髄が集まることで脳が形成されている。脳の発達には精の貯蔵庫である「腎」が密接に関与しており、精と腎が髄を生み出している。

腎精が不足してしまうと、脳が滋養できなくなってしまい脳鳴が生じる。

加齢・虚弱体質であること・長い間病気を患うこと・大病を患うことが腎精を損なう原因となる。

膝腰の重だるさ・眩暈・耳鳴り・もの忘れなどの症状が出現する。

 

A心脾両虚による脳鳴
栄養不足により頭部に栄養分を供給できないことが原因となる。働き過ぎ・飲食の不摂生による消化器の機能低下や考えすぎ・心配事が続くなどによる精神疲労が栄養不足を招く。
睡眠時間が短くなる・夢を多く見る・疲労倦怠感・動悸・下痢・むくみなどの症状が見られる。


B湿熱阻滞による脳鳴

頭部へのエネルギー運搬ルートに滞りが生じることが原因となる。

油濃いもの・味の濃いもの・アルコールの過剰摂取は体内に余剰な水分や熱を生み出す。

これら消化器に生じた熱は上に昇る。昇った熱は頭部へのエネルギー運搬ルートを停滞させてしまった結果脳鳴が生じる。頭や身体が重だるい・めまい・吐き気・下痢などの症状が見られる。

 

C肝気欝結による脳鳴

頭部内・頭部へのエネルギーの運搬がスムーズでないことが原因となる。

エネルギーの運搬をコントロールと五臓の「肝」が担っている。

肝の機能低下が低下することで、エネルギーの運行が停滞してしまう。機能低下は精神抑鬱や大きな精神刺激により生じることが多い。怒ると悪化するという特徴を有し、その他、胸肋部の張り感・よくため息をつく・口が苦く咽が乾くなどの症状が見られる。

 

スタッフ 杉本

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

あくび

電車で座っている時の事なのですが、シートにいた自分以外の人が一斉に降りてしまい、何とも言えない

一人ぼっち感を味わった研修生の大久保です。

 

さて、今回は皆さんも普段何気なくしている「あくび」についてご紹介したいと思います。

もちろん寝不足や疲労時に出るあくびは正常な生理現象なのですが、頻繁に起こったり、下記の随伴症状

が伴った場合は中医での証が確定する場合があります。

 

1.肝気鬱結タイプ

 症状 :あくびがハッキリ力強い、胸苦しい、喉の閉塞感、左右の下腹や胸肋部の脹痛

 

2.気滞血おタイプ

 症状 :あくびがハッキリ力強い、腹部の刺痛、喉が渇くが飲みたくない、胸がムカムカする

 

3.脾腎陽虚タイプ

 症状 :音が小さく弱弱しい、寒がり、下痢気味、倦怠感

 

今回もタイプは少なめですね!共通するのは胸周辺の滞りを解消しようとしてあくびが出るという

事です。緊張した時に頻発するあくびは1が原因かもしれませんね。

 

 

研修生 大久保昌哉

 

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

胎位不正(逆子)について

逆子は中医学では「胎位不正」と言います。

妊娠後期に腹部にいる胎児が、正しい方向(頭が下)を向いていない状況を指します。

「臀位(頭が上)」・「横位(頭が横)」が一般的である。

早速であるが、中医学的な分類を解説していきたい。


@気滞胎位不正

母親の全身症状における気のめぐりの悪さが原因となる。

胎児の動きは妨げて胎動を行いにくい状態となる。

胸部やお腹の張り感を全身症状として伴うことが多い。その他、身体の痩せ症状や呼吸が速いなどの症状を伴うことがある。

 

A脾湿胎位不正

母親の身体に余分な水分が生じていることが原因となる。

余剰な水分は胎児の動きを妨げる原因となり、胎児は胎動を行いにくい状態となってしまう。

消化器の弱い方に多く見られる。比較的ふくよかな体型の方に多い。

身体の重だるさ・食欲不振・手足のむくみ・ハードワークできないなどの症状も見られる。


B気血両虚型

母親の体内のエネルギーや栄養不足が原因。

胎児にもエネルギーや栄養が不足しているためが胎動が行いにくい状態である。

やせ細っており、声に力なく疲れやすいといった身体的な症状・特徴が見られる。

 

今回は代表的な3ケースについて解説させていただきました。

逆子については過去に掲載しました記事に治療事例を多数紹介しております。

よろしければそちらも併せてごらんくださいませ。

 

スタッフ 杉本

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《逆子》に収められています。

梅雨は身体が重だるい

お疲れ様です、杉本です。

 

大和市もついに梅雨に突入しましたね。今日も昼頃急に雨が降ってきました。

私は今の「ジメジメした気候」が非常に苦手です。

最近テレビでも「気候病」という言葉が流行しているみたいですが、湿度が高い環境は私たちの体調に影響を及ぼします。梅雨時期になんだか身体が重だるい経験をしているのは私だけではないのでししょうか?

以下、東洋医学的にどうして身体が重だるくなるのかを解説致します。

 

●身体が重だるい=「身重」

身体が重だるいこと・身体が重だるくて動かしづらいことを中医学では「身重」といいます。

この身重が生じる原因としては、主に「湿」が関与しているとされている。

 

●「湿」とは?

湿は、体内の正常な水液物質(津液)が停滞することで生じる。

粘稠性が高く粘々したイメージ。特徴としては、ネバネバしている・粘稠性が高いため停滞する・重いといった点が挙げられる。ゆえに体内に「湿」が生じることは体の重だるさとして現れる。

体内に湿が生じる原因としては、「五臓六腑のトラブル」・「気候を感受すること」が原因とされる。


●梅雨時期の身重について

@風水における身重

多湿な環境が主な原因となります。人間には気候の影響を受けないように体表面にバリアをまとっていると漢方的には考えられています。しかし、体表面の気の量が少ないこと・体表面の気の巡りが悪いこと・そもそもの気の総量が少ないことが原因で、気候の影響を受けやすくなってしまうことがあります。つまり気候由来の「湿」を安易に体内に取り込んでしまうのです。

陰天時に悪化することが特徴として挙げられます。その他、頭を包み込むような痛みや重だるさ・鼻が塞がる・風を嫌がるなどの身体的な症状を見られることが多い。

 

A脾虚湿困による身重

消化器の機能失調に由来する。身体の水液代謝と輸送に密接にかかわっている消化器の機能が低下することで、水液が停滞し「湿」が生み出される。主な原因としては食生活の乱れ、疲労、考えすぎが挙げられる。身体の重だるさは比較的長く続くことが特徴。その他、心身疲労・食欲不振・口の中の粘り感・下痢・むくみなどの身体症状を見られることが多い。

 

さらにこの体内の湿(A)と気候の湿(@)は結びつきやすいという性質がある。

つまり、消化器が弱く体内に「湿」を生み出している人は気候に存在する「湿」を取り込みやすい。

反対も成り立ち、「湿」が多く存在する気候では消化器の機能低下をもたらす。

 

上記が解説となりますが、いかがだったでしょうか?

私は梅雨時期以外にも長時間水を使ったお風呂掃除を行ったことで同様の身重感に見舞われたことがございます。(ちなみに消化器は弱い体質です)。

このような病気ではない身体の不調も鍼灸治療の治療対象です。

私のように梅雨時期に体調がすぐれない方、是非一度ご相談くださいませ。一緒につらい時期を乗り越えていきましょう!

 

スタッフ 杉本

 

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

オーツ麦

家の前の空き地が一日にして二階建て一軒家の木材が組まれたので、その驚きを建設関係の知人に

話したら「一日で終わらせないと重機とかのレンタル料で割に合わなくなるんだよ。いっぱい助っ人も

いたでしょ?その人に日当出しても一日で終わらせた方が得なんだよ。」と言われました。

確かに屈強な職人さんが4〜5人で一気に組み上げていたのを思い出し、感動の裏にはそんな現実が

あったんだなぁと本質を知った研修生の大久保です。

 

さて、今日はそんな本質を交えてお伝えしようとする内容が「オーツ麦」です。

最近の健康ブームで何かと話題になっているのですが、間違った食べ方をして健康被害も多々あるよう

なので、東洋医学を交えてお伝え致します。

 

まず、このオーツ麦ですが、イネ科の穀物で別名を「燕麦(えんばく)」「オートミール」「オート麦」

「オート」と呼びます。皆さんが聞き馴染みのあるものだと「グラノーラ」も元々はこのオーツ麦を

加工しているものです。これが何故話題になっているのかというと、玄米より食物繊維やたんぱく質、

ビタミンが豊富で少量でもお腹を満たせるのでダイエット食として注目を集めています。

 

食べ方はシリアル食品のように牛乳をかけたり、レンジでふっくらパンのようにしたり、お粥のように

煮たりと色々とアレンジができて毎日でも食べられるようなのですが、調べてみると「げっぷが出る」

「便秘になる」「肌荒れする」「浮腫む」などの悪影響があるようなので、中医学を交えながら

ご説明致します。

 

ではまずオーツ麦の効能から見てみましょう。

四気五味 :甘味 平属性

帰経   :脾胃

効果   :活血理気 補益脾胃 滑ちょう催産 降胆固醇 益肝和胃 潤腸通便

 

何となく分かりますか?漢字を使う日本に生まれて良かったと思える瞬間ですね(笑)

大まかに説明しますと、オーツ麦は温にも寒にも属さず、脾胃を調整し、便通を良くするとなります。

また、「降胆固醇」とはコレステロールを下げるという事で、「催産」とは難産の際に食べる事で

分娩を促す作用があると中国の古典『本草綱目(ほんぞうこうもく)』に記載されています。

 

「こんなに良いことばかりなのに何で悪影響が出るの?」

 

と、思いますよね!これは食べ方に問題があるのだと考えられます。

ただでさえ穀物で消化に時間がかかる食べ物なのに、冷たい牛乳や三食全てをオーツ麦にしてしまったら

胃から腸に流れず滞ってしまう『食滞』が起きます。そうなってしまったら胃の気が逆流して『げっぷ』

が起きますし、たとえ流れたとしてもその後の食物の流れを遅くしてしまい『便秘』になります。

 

また、冷たいものと一緒に摂ることで脾の陽気を不足させたり、傷つけてしまえば湿や痰が生じ、

『肌荒れ』『浮腫み』が出たり、逆に体重が増加する可能性もあります。

 

いかがだったでしょうか?ちょっと面倒ではありますが、本質を調べると色々な事が分かって、何に

気を付ければ良いのかが分かると思います。「コロナで運動できないから食べ物で痩せるっ!」と

お考えの方はご参考にしてみてください。

 

IMG_5643 (1).jpg

我が家の4.5kgオーツ麦

 

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《みんなのブログ》に収められています。

滑胎(習慣性流産)について

習慣性流産を東洋医学では「滑胎」・「数堕胎」という。

連続して3回以上自然に流産するものをいい、不育症の大半を占める。

多くは腎虚・気虚・血熱・外傷などの原因によって起こる。

 

@腎気不固滑胎

気の作用として「物質を一定位置に留めておく」ものがある(固摂作用)。

妊娠中においては、子宮内に胎児を留める役割を有する。

五臓の「腎」の不調により、胎児を子宮内に留めておく力が弱くなってしまうため滑胎が生じる。

歳を重ねることや過剰な性生活が原因となることが多い。

身体的な症状としては、妊娠後膝腰が重だるくなる・眩暈耳鳴り・排尿回数が増えるなどが出現する。

 

A脾胃気虚滑胎

胎児に十分なエネルギーや栄養物質が供給されないことが主な原因となる。

消化器の失調によることが多い。飲食物を消化・吸収する力が低下し胎児が育つのに必要な量を取り込めない結果、滑胎が生じる。

飲食の不摂生他、働き過ぎや考えすぎも原因となる。

身体症状として、顔は黄色くわずかにむくむ・精神疲労・声は小さくボソボソと話す・食欲はあるが食べられない・下痢傾向などが現れる。


B相火妄動滑胎

子宮内に熱が生じ、エネルギー・栄養分・水分などを損傷させることが主な原因となる。

熱を生みだす原因としては、人の情欲が亢進して欲望が思うように満たされないことや過剰な性生活が挙げられる。

身体症状として、両方の頬は赤い・口が乾き飲み物を飲みたがる・膝腰の痛み・陰部より出血などが出現する。


C虚寒相博滑胎

子宮の冷えにより胎児が生命活動を行う上で必要な栄養・体温が奪われることが原因となる。

冷え体質であること。その他、寒冷な環境が母親の体内に侵襲し、子宮に達することで生じる。また虚弱な体質であるほど、外的気候の影響(ここでは寒冷刺激)を受けやすいとされている。

身体症状としては、下腹部が冷え痛む・手足の冷え・膝腰が重だるい・下痢・尿の色は淡く量は多いなどが現れる。

 

D外傷滑胎

外傷による滑胎。躓きこけるなど妊娠後明らかな外傷歴がある。

@〜Cと比較し明確な原因があるために鑑別しやすい。陰部からの出血が見られる。

 

スタッフ 杉本

 

◎参考文献

「中医症状鑑別診断学」 人民衛生出版社

「中医基本用語辞典」 東洋学術出版社

「漢方用語大辞典」 燎原出版社

「病気がみえる 産科 第2版」 メディックメディア

耳鳴り・難聴

さくら堂ブログ38 「耳鳴り・難聴」

 

最近スーパーのレジ袋がなかなか開けられない研修生の大久保です。梅雨に入り湿気もあるのに

どうしてですかね?

 

さて、今回は私も治療する機会が多い『耳鳴り・難聴』についてお話しさせて頂きます。

「耳鳴りと難聴は違う症状じゃない?」と思った方!勘が鋭いですね^^ただ、中医学では同じ原因で

起こる為、一緒に説明する事が多いです。似た症状で『脳鳴』『頭鳴り』というのがあるのですが、

これは原因が違いますのでご注意ください。

 

1.風熱タイプ

 症状:突然起こる、片側の場合あり、風邪が吹くような音がする、鼻水や鼻づまり

 

2.肝火上炎タイプ

 症状:突然起こる、耳の脹痛、全く聞こえない場合あり、ベル・雷・波の音がする

 

3.肝陽上亢タイプ

 症状:徐々に聴力減退、耳鳴りは日によって強弱がある、めまい、物忘れ、目の乾き

 

4.肝血虚タイプ

 症状:耳鳴り日によって強弱し特に午後は大きい、めまい、夢を多く見る、セミが鳴いているよう

 

5.痰火タイプ

 症状:両耳がザワザワ・カサカサ鳴る、耳の詰まった感覚、頭のふらつき、痰が多い

 

6.気滞血おタイプ

 症状:突然起こる、固定性の刺すような痛み、精神的ショックや外傷術後に多い

 

7.腎陰虚タイプ

 症状:徐々に聴力減退、音の小さな耳鳴り、寝汗

 

8.腎陽虚タイプ

 症状:徐々に聴力減退、音の小さな耳鳴り、四肢の冷え 

 

9.心腎不交タイプ

 症状:大きな音の耳鳴り、胸がムカムカする、不眠

 

10.脾気虚タイプ

 症状:肉体疲労によって難聴悪化、お腹がはる、無力感

 

いかがでしょうか。とにかく多いですね(笑)

ただ判断材料は多いので、耳鳴り・難聴にお困りで受診する際は以下の項目を思い出しながら

問診の役に立ててください。

いつ頃から起きたか 一日で変動はあるか 鼻の症状はあるか 耳の痛みはあるか 寝汗はかくか

眠れているか 胸のムカつきはあるか どのような音がするか 疲れやすいか 目のかすみはあるか

 

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《耳鳴り》に収められています。

この数日頭痛の方が急増?

2021/6

今年の梅雨は雨がざっと降ったかと思えば、急に晴天になり、また雨が降るような、いわば乱高下的な雨足となっています。

急に晴れると降った雨が水蒸気となって上昇します。

湿気の影響が体内にあらわれると概ね体内下部か下方ベクトルの疾患となります。これが伝統医学の基本です。

●体内の下部なら腰痛とか膝痛とか脚の浮腫みとかですね。

●下方ベクトルならお腹を下すなどがこれです。

 

しかし例外はつきものです。

昨今のように雨足がピタッと止み、急に晴れると、いっきに気温上昇と水蒸気が訪れます。

すると湿気に熱が加わりますからどうなりますか?

 

(答え)体内の上半身に症状があらわれます。また上方へのベクトルをもつ疾患も多く見られます。

●上半身の症状なら頭痛が代表的です。湿気を伴うので締め付けられるか重くなるでしょう。(このような症状への対処に追われたこの数日でした💦💦💦)

●上方へのベクトルなら嘔吐と眩暈がその代表格です。他にありますよ、耳鳴りとか…

 

自然界の影響を受けないような工夫・改良をし続けたのがある意味で現代の姿ではありますが、それは室内だけの話といえるのではないでしょうか?

快適な室内生活という点ではバッチリ?p???`成功したかもしれません。

しかしこれが自然界に順応した体の仕組みを弱らせたともいえます。

室内外の差に弱くなった方が多くなるのは致し方ないのかとも考えますが…

 

この辺に関しては拙著《問診のすすめ》(東洋学術出版社)に記してあります。ご参考にしてください。

 

※新着時期を過ぎると《院長の呟き》に収められています。

 

新宿医療さん

2021/6

今日は新宿医療さんでの講義。

昨年に続き2年目。

僕の場合は主に3年生(最終学年)か教員養成科(2年生)を担当することが多い。

ほとんどがゲスト講師みないな位置づけなので4〜15コマ(1コマ90分)程度。

今回は問診学👉穴性学👉痛みに対する技術論👉補寫論と主要穴の打ち方の順で進める。

 

学生と市井の臨床家の違いはいわばアマとプロの違い。

技術もさることながら圧倒的にスピード感が異なる。

 

適宣するツボを探す時間、鍼が決まるまでの時間(必要な響きが出るまでの時間)、分析する時間、方針を決めるまでの時間が圧倒的に学生は長い。

学生のうちからこの辺りを意識しなければ、現場では残念だが無用の長物と化してしまう。

 

是非に学生にはスピード感を意識しながら患者さんに益する臨床家に育って欲しいと思う。

個人の力は及ぶ範囲が限られている。

しかしそんな個人でも、その個人の数が増えれば、かなり広域な範囲を網羅できる。

ここが教育の役割である。

 

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※新着時期を過ぎると《論文&講義》に収められています。