〒242-0021 神奈川県大和市中央3-8-26 杉中央ビル1階

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「排便困難」は排便に要する期間が通常よりも延長し、排便がスムーズに行えない状態を指す。似たような症状で「大便秘結(便秘)」がある。(排便困難では隔日、大便秘結では排便間隔は4〜7日/回といった違いが見られる。)

①大腸熱結による排便困難大腸に存在する熱が原因となる。もともと熱が盛んな体質であること・または辛いものの食べすぎることで体内に熱が生じる。胃腸に生じた熱が大腸に下降し、水分を飛ばすことで排便困難を招く。(特徴)便は乾燥している・兎糞便・腹部の張感を伴うなど
(身体症状)顔、耳が赤い・口の渇き・尿の色は黄色い・脈が強いなど

②湿熱による排便困難

 湿気と熱が原因。高温多湿な環境や甘いもの・油濃いもの・味の濃いものなど飲食の不摂生により体内に「余剰水分」と「熱」が生じる。体内の余剰水分は胃の消化・吸収能力や大腸の糞塊を運搬する能力の低下を招く。

(特徴)ネバネバとした便・先に硬いものが出た後水様便が出る

(身体症状)体の重だるさ・口が苦い・小便の量が少ない・小便の色は濃いなど

③脾肺気虚による便秘

消化器の糞便を運搬する力の不足が原因。飲食不節、思慮過度、疲労や過労などによって消化器自体の活動力が低下し、排便困難を招く。

(特徴)すっきりと排便できない・力んでも出すことが難しい
(身体症状)精神疲労全身倦怠感・ボソボソと話す・脱肛など。

④肝脾気滞による排便困難長期にわたるストレスや強い精神的な刺激を受けることがきっかけになり大腸の動きが悪くなることが原因となる。大腸の動きが悪くなった結果、糞便の運搬する力が低下し排便困難を招く。

(特徴)便意が急に迫ってくるも排便できない
(身体症状)おならが比較的多い・お腹の張り・精神抑鬱・ゲップが多い・生理前の胸の張りなど。
 

⑤脾腎陽虚による排便困難冷えが原因。加齢や過度な疲労は身体を温める力の低下をもたらし、生じた冷えは大腸の機能の低下を招きその結果、排便困難が生じる。

(特徴)乾燥した便が出る

(身体症状)四肢の冷え・寒がる・腰膝の重だるさ・小便の量は多く色は薄い・夜間頻尿など。

⑥血虚(陰虚)による排便困難胃腸の潤い物質の不足により腸道が狭くなることが排便困難の原因となる。長い期間病気を患うこと・産後の出血・加齢によるものが多い。
(特徴)硬い兎糞便
(身体症状)頭部の揺れ感・不眠・顔色は青白い・両ほほが赤らむ・口やのどの渇きなど

スタッフ 杉本

  ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

嘔吐と水様便の下痢が同時にあるいは交互に発生するものを指す。

中医書には「上吐下瀉」の他、「霍乱(かくらん)」・「吐瀉」という記載も見られる。

多くは気候由来のもの、消化器のトラブルなどが原因で引き起こされる。

現代医学におけるコレラ・パラコレラ・細菌性食中毒などとよく似ている。

①暑湿による嘔吐下痢高温多湿な気候が原因で発症する(夏に多い)。この気候由来の熱や湿気が体内に侵入し消化器に影響をもたらす。胃が損傷されることで嘔吐が出現し、大腸に下注することで下痢が生じる。
(特徴)発症は急激・腹部は絞ったような激しい痛み・黄色い水様便・あるいは粘液便を下痢する
(身体症状)口の渇き・腹部のつかえ感・発熱・頭痛・四肢や体の痛み・小便は量は少なく色は濃い

②寒湿による嘔吐下痢寒冷・多湿な気候により生じる。生もの冷たいものを食する・夜風にあたるなどが原因となる。

冷えは胃腸の消化・吸収能力の低下を招き、身体の栄養・不必要な物質を循環・排出されるメカニズムに障害が生じることで嘔吐・下痢が生じる。
(特徴)水分量豊富な嘔吐・下痢となる・臭いは少ない・腹痛を伴う・温めたりさすると楽になる
(身体症状)胸やお腹の張り・むくみ・四肢、身体の冷えなど

③虚寒による嘔吐下痢もともとの冷え体質が原因となることが多い。胃腸の消化・吸収機能の低下(胃⇒小腸⇒大腸に降ろす機能が低下する)を招き、嘔吐下痢となって現れる。

(特徴)温めると軽減する・水様便・未消化便を下痢する
(身体症状)汗が出て四肢は冷える・寒がり・食欲不振など

④食積による嘔吐下痢食物が胃腸に停滞し、消化できないことにより生じる。暴飲暴食や不衛生なものを口にすることが原因となる。これらは胃の機能(消化・吸収)の低下をもたらし嘔吐・下痢が生じる。
(特徴)腐酸臭のする嘔吐と下痢となる・下痢をした後痛みは軽減する
(身体症状)腹部が張って痛む・ゲップが出る・嘔吐の後下痢することが多いなど

⑤時疫霍乱による嘔吐下痢感染症を感受し、胃腸が侵襲される・腐敗したものを口にするといったことが原因で嘔吐・下痢を生じる。
(特徴)発症は急激・激しい嘔吐下痢となる(噴射状に嘔吐・下痢ははじめは泥状便が出た後水様便が出る)・臭いはない・はっきりとした腹痛が生じる
(身体症状)口の渇き・両目の陥凹・皮膚は青白い・冷や汗をかく・唇や爪の色は青白いなど

スタッフ 杉本

  ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

便失禁は、排便のコントロールができず、自分の意思に反して便が漏れてしまう状態を指す。

原因は肛門部の筋肉(肛門括約筋)の衰えや損傷が挙げられる。

衰える原因の一つは加齢であり、肛門を占める力が弱くなることで失禁が生じる。

また損傷の原因は分娩、痔、大腸がんなどの病気が挙げられる。

以下、東洋医学的な解説を行いたいと思います。

●「大便失禁」についての東洋医学的解説

便失禁は、自分の意思に反して便が漏れてしまう状態を指す。ひどい場合には排便したことを自覚していない状態となる。

ただ排便回数が多くとも自身でコントロールできる状態・肛門部の外傷・手術の後遺症によるものは
含まれない

脾腎陽虚による大便失禁長期間の下痢症状などにより五臓六腑「脾」「腎」が虚損したことが原因となる。「脾」「腎」の虚損は消化器の冷えを生じさせ飲食物の消化・吸収能力の低下を招く。双方の虚損は、しばらく下痢が止まらない・飲食物は未消化のまま排せつされるといった状態が生じる。
(特徴)慢性的な下痢症状・排便回数は頻回・時折粘液便を排泄
(身体症状)寒がり・四肢の冷え・小食でお腹が張る・腰の重だるさ・耳鳴り・尿量多く色は薄いなど

②気虚による大便失禁加齢による体力低下・長期間病気に患うことなどでエネルギー(固摂機能)が虚損することが原因となる。固摂機能には①内臓位置を一定に保つこと・②物質が漏れ出ないようにすることがある。

つまり固摂機能の低下により、内臓の下垂・肛門部おいて便が漏れ出る、という症状が出現し、大便失禁となる。
(特徴)大便は時々漏れ出るが、便が出ている自覚はない・ひどい場合には脱肛が生じる

 (身体症状)痩せ・精神疲労・食欲不振・息切れ・ボソボソと話すなど

③疫毒による大便失禁伝染性のウイルスや細菌などが原因となる。これらは腸道のうっ滞やエネルギーの虚損を生じさせる。エネルギーの虚損はこれらの邪から体を守ることが出来ず、一過性の意識障害が生じた結果便失禁を招く。

(特徴)急激に発症し、鮮やかな紫色の膿血便あるいは水様便となる
(身体症状)高熱・口の渇き・ひどい場合は意識がはっきりとしない状態となる

スタッフ 杉本

  ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

2021/1

前回子宮を定位とするツボが18穴あるとお話ししました(子宮に関わるツボ①参照)。

その効能は大きく「子宮を温める」「子宮の気を流す」「子宮の気を固める」「子宮の熱を下げる」「子宮の気の不足を補う」の5つに分けられます。

これだと治療学上どうしても足りないものが出てきます。何でしょう

「子宮の血を補う・増やす」

「子宮の血を散らす・促す」の2つです。

前者は子宮の血が少ない時に使います。具体的に経量が少ない、生理が3日で終わるなどの方。相応に子宮内膜が薄いと考えて良いでしょう。

後者は子宮の血流が悪いということ。具体的には塊の血が出てくる、茶オリの期間が長いなどです。これなど子宮内膜が固い証左になります。《子宮に関わるツボ①》で示した通り崑崙穴を補助的に使うことは可能ですが、少し効果が弱いですね。

どうしてこういうことが起こるのでしょうか?

子宮の気はいわば子宮の運動エネルギーです。これに引き換え子宮の血、とくに子宮内部の血は卵子から胎児までの一連の過程の栄養素なのです。ここには受精卵の着床部位となる子宮内膜への栄養も含まれます。そして大事なことはこれら栄養の塊である血は、子宮の外部から子宮内部に流入する構造のなっているということです。

大事なのは脾・肝・腎

そこで血の根源である食物や水分から水穀の精微を吸収する脾、血のストック及び運搬を担当する肝、血が血らしく活動するためのエッセンスを供給する腎の精を調整しなければならないわけですね。

血を作り、運び、磨くのは脾・肝・腎精なのです。

古来より三陰交というツボが不妊治療によく使われるのはここに隠し味があるわけです。

3つの陰の経絡が交わるので三陰交です。

脾に属する太陰脾経、肝に属する厥陰肝経、腎に属する少陰腎経の3つで三陰交です。

よって不妊治療ではこの血の質・量を意識したアプローチが必須となるわけです。

※新着時期を過ぎると左サイドバー《不妊症(雑話、症例、内膜症、筋腫、その他)》に収められています。

2020/1

先週、少し時間に余裕が出来たので10数冊の書籍をひっくり返しながら、定位が子宮にあるツボを探してみました。

定位とは、そのツボが体のどこに効くかということですから、ここでは子宮にダイレクトに効くという意味になります。

三陰交、関元、地機などなど・・・18穴ほど見つかりました。

もちろん子宮と関わる臓器まで広げると50穴でも足りないでしょう(*`艸´)ウシシシ

その18穴の効能をさらに別の書籍に調べると「子宮を温める」「子宮の気を流す」「子宮の気を固める」「子宮の熱を下げる」「子宮の気の不足を補う」などとありました。

その中には僕が日常使わないツボもあります。

たとえば崑崙というツボ、足の外踝(くるぶし)とアキレス腱の間にあります。

「子宮の気を流す」効果とあります。

では今度は歴代の主治症を見てみましょう。

つまりどんな症状に使っていたかを調べてみたわけです。

子宮に関わる症状では圧倒的に多かったのは難産でした。次が後産(胎盤の排出)です。後は血塊(月経血が塊状になる)を出すなどでした。

ここからわかることは一つです。

つまり崑崙は子宮が強い収縮が必要な時に、その収縮力を上げる効果があるということです。

強く収縮を促して、出産までもってゆく、胎盤も排出する、生理中なら血の塊を出し切るということですね。

不必要な血が体内に残せば、それはもう血オになって下さいと言っているようなものなのです。

それもあってか昔の書籍を読むと血オをオ血という、「汚血」という字をあてたものまであります。

血オを作らないためにも崑崙はとても大事なツボということです。

僕が不妊症の患者さんに再三再四足首を回してねー、と強調するのはこういう意味があるわけです(崑崙は足首にある)。

※新着時期を過ぎると左サイドバー《不妊症(雑話、症例、内膜症、筋腫、その他)》に収められています。

今の時期、電車で座る場所を間違えると凍える事を学習した大久保です。換気のため窓を開けているので、

入ってくる風の向きも考えなきゃいけませんね!

さて、私が訪問治療している患者様で主訴四肢知覚異常。他にお困りの事が無いか聞いてみると、

目眩耳鳴り聴力低下・足腰に力が入らない動悸不眠寝汗夜間頻尿の症状をお持ちの方が

いらっしゃいます。

症状が現れた時期など色々とお話しを聞いて、まずは肝腎の陰液不足を補おう』との考えに至り、

半年ほど鍼治療を行ったのですが思うような治療効果が上がらないと悩んでいた去年の10月。

ご出身の鹿児島ではお灸が盛んで、ご自身も小さい頃によく据えられていたのでここでもできないかとの

ご相談を頂きました。

お灸の性質は「流す」というイメージが強いので、「陰液を補う」治療を続けたいと思いつつご希望通り

お灸を今ままで鍼をしていたツボに据えてみと、今までで一番調子が良く感じるとのこと。3ヶ月程経った

今では動悸以外の症状は時々しか出ないとのことでした。

この結果は私の鍼操作の技量不足なのか。患者様の体質に合っていたのか。はたまたお灸の性質を考え直さ

なければなのか

この嬉しい誤算必然に変えれるように、もっと勉強しなければと思いつつ、貴重な経験を

させて頂いた患者様に感謝の気持ちでいっぱいな週末でした。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《臨床のお話》に収められています。

「テネスムス」とはどのような状態か?

テネスムスは便意をもよおしても排便がなかったり、便意があっても便が少量しか排出されないにもかかわらず頻繁に便意をもよおす症状を指す。いわゆるしぶり腹である。

このテネスムスは、中医書には「裏急後重」と記載されている。

「裏急」は腹痛をともなう我慢できないほどの便意を指し、「後重」は急激に排便するが便意は解消されず肛門の下垂間を伴うことを指している。

「①湿熱」「②気滞」が原因となるものが多く「湿熱」と「気体」は同時に見られることが多いとされている。 

①大腸湿熱によるテネスムス飲食の不摂生(アルコール・甘いもの・油濃いものなどの過食)・湿度、気温の高い環境によって胃腸に湿熱が生じる。湿熱が大腸に下降することが原因となりテネスムスが生じる。

(特徴)腹痛・差し迫った便意・膿血性の下痢・肛門に灼熱感が生じる
(身体症状)発熱・口が渇く・小便の量は少なく色は濃い

②気滞によるテネスムス大腸内の便を運搬する力「気」が滞ることによって生じる。気が滞る原因としては、①に挙げた「湿熱」や寒冷、多湿、高温な環境・五臓六腑の失調などが挙げられる。
(特徴)お腹の張り(甚だしくなると側胸部へ移行)・お腹がいたくなるとすぐ排便したくなる・排便後には腹痛は軽減する・すっきりと排便できない・膿血便
(身体症状)力強い弓の弦のような脈となる

③気虚によるテネスムス慢性の下痢・疲労などによって胃腸の消化・吸収能力の低下が生じる。大腸においても運搬能力の低下がみられテネスムスが生じる。また内臓を定位置にとどめておくことができず下垂傾向となる。
(特徴)持続的なはっきりとしない腹痛・肛門の下墜感(甚だしいときは脱肛となる)
(身体症状)精神疲労・息切れ・ボソボソと話すなど

④津少血虚によるテネスムス多くは慢性的な下痢症状により、身体の保湿・栄養物質を虚損することが原因となる。

乾燥症状が特徴・身体症状によく出現する。
(特徴)腹痛を伴い我慢できない便意となる・排便時に力んでも便が出ない・あるいは粘液が数滴出るのみ
(身体症状)口の乾き・目の乾燥・午後に体温が上がる(甚だしい場合に夜間に高温)・痩せなど

スタッフ 杉本

前回血便についての解説を行いました。

引き続き、排せつ関係について調べてみると、「大便膿血」という表記がみられます。

ネバネバした液体や血液をともなう下痢があり、排便回数が頻繁であること、裏急後重(急激な腹痛がおこり、常に便意があるが、排便によって便意が解消されず肛門の下垂感を伴う疾病))を伴うものを指す。ゼリー状であり血液を含む疾患としては、「痔」、「感染性腸炎」、「潰瘍性大腸炎」、「大腸がん」などが考えます。

東洋医学的に考えると、身体がどのようなことが生じているのか?

「大便膿血=膿血便」についての解説を行っていきたいと思います。

①大腸湿熱による膿血便原因としては、飲食不摂生や高温多湿な環境などにより胃腸に湿熱が生じ、大腸へと下降することにより生じる。

「湿」が多いものはネバネバした液体の割合が多く血液は少ない。

「熱」は反対に、ネバネバした液体の割合が少ないが血液は多い。

もちろん「湿」「熱」双方に盛んな場合には、粘液と膿血(赤白の夾雑物)を下痢する。

(特徴)排便回数は頻繁・腹痛、肛門の灼熱感を伴う・最初は水様便が出て膿血便が出る・量は少ない
(身体症状)小便は赤色・量は少ない・嘔吐・身体が熱い、など

②寒湿阻滞による膿血便普段より寒冷の食事を摂取しすぎて胃腸を冷やしてしまい、消化吸収能力が低下することが原因となる。生じた余剰水分が腸内にとどまり、腸の動きが停滞することで膿血便が生じる。
(特徴)。膿が多く血液が少ない下痢(豆乳のようと例えられる)・長く続く腹痛・暖めることや按ずることで軽減する
(身体症状)飲食を欲さない・小便は薄くて量が少ない、胸腹部のつかえ、など

③感受疫毒による膿血便

伝染病由来。胃腸を侵襲し全身に高熱症状を発症させる。

(特徴)発病は急速で高温・激しい腹痛が生じる・紫色の膿血便または水様便となる・便は悪臭

(身体症状)唇は青紫色・顔色は青白い・舌色は深い赤色など

④下焦虚寒による膿血便慢性の下痢が続き、身体のエネルギー・栄養・潤い物質が損傷することが原因となる。

エネルギーが不足することで「脾(消化器)」「腎(排泄器・生殖器)」に冷えが生じる。

冷えは消化・吸収や食塊の運搬作用に影響を及ぼし、大腸の吸収や排せつ機能の低下が生じるため膿血が生じる。
(特徴)水様便・白色ゼリー状や薄い血液が混じる・我慢できる程度の腹痛・温める按ずることで楽になる
(身体症状)四肢の冷え・痩せる・食欲不振など

⑤陰虚内熱による膿血便慢性の下痢症状によって身体に必要な保湿物質が失われることが原因となる。

体を冷ます成分が少ないために相対的な熱が生じ、大腸に停滞することで膿血便が生じる。

慢性的な下痢がきっかけになることは、「④」と共通するが、身体症状で顕著な違いが現れる。
(特徴)耐えられる程度の腹痛が長時間続く
(身体症状)午後に体温が上昇する(甚だしければ夜間発熱)・便秘・尿が濃いな

⑥時発時止膿血便初期治療時に下痢を止めることが早すぎることで治療がうまくいかなかったことが原因となる。

下痢を止めることが早すぎると腸内に熱を残してしまい、膿血便が生じる。

(特徴)発作時には血液が多く粘液は少ない下痢を排泄する・悪臭を放つ・非発作時はお腹の張りやはっきりしない痛みが続く・便秘と下痢が交互に続く
(身体症状)顔色は黄色い・心身疲労・食欲不振・痩せなど

スタッフ杉本

不正出血は、月経以外に膣から出血する症状を指すが、この状態を中医学では「崩漏(ほうろう」という。

「崩(ほう)」とは出血が突然おこり、かつ出血量が多い状態を指す。

「漏(ろう)」とは出血量は少ないが、持続的に出血が続く状態を指す。臨床的には「崩」と「漏」は同時に診られることが多いため、総称して「崩漏」と呼ぶ。

①腎陰虚による不正出血保湿・潤い物質により体内に熱が生じた状態を指す。

長期間病気を患うこと、出血過多や多産などが原因となる。体内に熱が生じ、その熱が子宮へと移動し、血流を加速させることにより崩漏となる。
(特徴)鮮紅色・または紫紅色・粘着度が高い・血塊を伴うこともある
(その他の症状)膝腰の重だるさ・頭部揺れ・耳鳴り・口が乾くが飲み物を欲さないなど

②腎陽虚による不正出血
物質が体外から漏れ出ないようにする「気の固摂作用」。腎における固摂作用のひとつとして、子宮から血液が漏れ出ないような役割を有す。出産過多、若年での出産などが原因となり子宮が虚損された結果、子宮の冷え、血液を子宮内にとどめておく力が低下することで崩漏となる。

(特徴)淡紅色・血塊はみられない
(その他の症状)水様の白帯・下腹部の冷え・腰痛・寒がるなど。

③脾気虚による不正出血五臓の「脾」は血液が脈から漏れ出ないようにする「統血」機能を有する。ゆえに脾のエネルギー低下は出血症状を招く。飲食の不摂生・過労などが原因となる。

脾のエネルギーが虚損することで、血液が子宮内から漏れ出てしまうことで崩漏が生じる
(特徴)色は淡紅

(そのほかの症状)倦怠感・食欲不振・軟便・息が切れて話をしたがらないなど

④血オによる不正出血月経期、または出産後において子宮の中の血液がすべて排出されないことにより起こる。

また冷え、高温・多湿などの環境・五臓の失調による血液運搬能力の低下なども原因となる。

子宮内に古い血液が残り、新血が入れず溢れ出すことで崩漏が生じる。
(特徴)色は暗紫色・血塊が混じることがあり、下腹部が強く痛む(血塊が排出されると痛みは軽減)
(そのほかの症状)舌は暗紫色・舌辺に赤点がある

⑤血熱による不正出血熱による子宮の血液制御機能の失調によるもの。

もともとの熱をもった体質に加えて、①高温などの外的環境要因、②辛いものや油濃いものの過食、③他の五臓六腑からの熱が波及することが原因となる。

これらの熱が子宮に生じることで、血流を加速させた結果、崩漏となる。
(特徴)鮮紅色または暗紅色・粘稠・異臭を伴うこともある
(そのほかの症状)皮膚の灼熱感・顔面部が赤い・不眠、口が乾き冷たいものを欲するなど。

スタッフ 杉本

※新着時期を過ぎると左サイドバー《不正出血》に収められています。

こんにちは!ミカンほど人によって食べるまでの手順が人それぞれな食べ物は無いだろうなぁと

しみじみ思う研修生の大久保です。因みに私は全体を揉むと甘くなり、頭のヘタがある部分から

剥くと繊維が残りにくいと思い込んでおります。

さて、そんな食べ物の話から始まりましたが、今日は食後に時々やってくる「しゃっくり」について

原因をご紹介しようと思います。西洋医学では「吃逆」(きつぎゃく)中医学では「口に厄」と「逆」

と書いて「あくぎゃく」と呼びます。古典では『声が出て、物がでるものを「嘔吐」、声が出て物が

出ないものを「あくぎゃく」とする』と定義していたようです。現代でもなかなか嘔吐としゃっくりを

結び付けられませんが、当時の人たちは口から逆流するものを「食べ物」なのか「気」なのか考えられ

ていた事が読み取れますね。

それでは誰でも多分一度はなったであろうしゃっくりを思い出しながら読んでみてください!

①胃寒気逆タイプ

 症状 :低くゆっくりな力のあるしゃっくり声、お腹の冷え

 原因 :冷たいものの飲食や寒邪が胃腸に侵入した為

 ※夏の日のビールでしゃっくりが出るのはこれですね!

②胃火タイプ

 症状 :大きくてよく響くしゃっくり声、勢いもある。口が乾き口臭がする

     お腹が熱く、尿が黄色、便秘傾向

 原因 :辛い物を食べたり、熱の邪が胃に入る。精神的な事も原因になる

 ※韓国料理を食べた時にしゃっくりが出たことを思い出しました。

③脾腎陽虚タイプ

 症状 :絶えずしゃっくりが出て苦しい、手足の冷え、顔が白く食欲が無い

     足腰に力が入らず、尿が多く、便がゆるい

 原因 :慢性の病や肉体疲労により胃気が低下する

 ※元気も無い。胃腸も調子悪いとなれば何かしら症状は出ますよね。長引くようなら注意が必要です。

④胃陰不足タイプ

 症状 :早いしゃっくり声で呼吸が苦しく、止まったり出たりを繰り返す。口が乾き精神不安

 原因 :慢性の病や肉体疲労により胃陰が低下する

 ※勝手な解釈ですが、空腹時にそれ程急いで食べてもいないのに出るしゃっくりはこれのような

  気がします。

胃の作用の一つに「食べた物や気を降ろす」という作用があります。これが上記の4つのタイプの原因に

よって逆流してしゃっくりとなる訳です。③のタイプにも書きましたが、2日以上長引くようなしゃっくり

は病院の受診をおすすめ致します。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のなげnい症状》に収められています。

血便は文字の通り、赤い血が混じっている便を指す。

大腸、肛門、下部消化器からの出血するが、肛門からの出血だと鮮やかな赤で大腸からの出血だと暗赤色となる。

疾患としては痔・大腸がん・大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎・クローン病などが挙げられる。

以下、東洋医学的な解説をしていきたいと思います。

●血便(大便下血)

中医では大便下血といい、便に血液が混ざるものを指す。大便下血には①出血のみ・②排便の後半に出血するもの・③出血した後排便するもの・④便に血液が付着しているもの、がある。

肛裂(切れ痔)・肛漏(痔ろう)などによって生じる。

1)大腸風火タイプ
気候・高熱な外的環境が陽明経脈(大腸と関係がある)に侵襲・熱が腸胃に停滞し脈絡を損傷するたことが原因で血便が生じる。

(特徴)

 出血後便が出る・鮮紅色・急激に発症するが期間は短い・肛門の灼熱感を伴う
(その他の症状)

唇が乾燥・咽が乾き冷たい飲み物を欲する・歯茎の張れ・口が苦い・口臭がする・便秘など。

2)大腸湿熱タイプ飲食の不摂生・また多湿な環境に長時間さらされることによって胃腸に余剰水分が生じる。

これが下降して大腸に留まり熱をおびる。この熱により血絡が傷灼されることによって血便が生じる。
(特徴)
 便に血液が付着・暗黒色or黒豆汁のような色の便

(そのほかの症状)
 顔色は黄色・口は渇き苦い・飲食を欲さない・お腹の張り・排便後すっきりしないなど。

3)肝腎陰虚タイプ身体の栄養物資・保湿物質の不足によって生じる。保湿物質の不足は相対的な熱(身体を冷ます物質が不足することによって生じる)を生み出す。この熱が大腸に停滞することによって血便が生じる。

(特徴)

排便後出血・深紅色・血液が点滴する・出血量は多くない
(その他の症状)

頭部の揺れ・めまい・両ほほが赤らむ・不眠・寝汗・足腰の重だるさなど。

4)脾腎陽虚タイプ
働きすぎ、長期間病気を患うことによる体力低下などによって「脾」と「腎」の気が低下することにより生じる。「脾」は血液を脈内にとどめておく作用を有し、「腎」は物質を漏れ出ないようにおさめる作用を有する。この「脾」「腎」双方の作用が低下した結果、下血が生じる。

(特徴)

排便後出血・黒い・粘稠度が高い・出血量が多い。
(そのほかの症状)

顔色にツヤがない・手足がだるい・ボソボソと話す・下痢・ひどい場合には手足の冷えなど。

スタッフ 杉本

2020/1

今月末から常陽学園さんの教育専攻科にお邪魔します。

今年で3年目になります。

衛生学園専攻科が廃止後こちらに回るようになりました。

まだお声がけしてくださる学校があり、有難いことだと思います。

ここは東京八丁堀にあり、自宅から地下鉄でいけるので便利です。

一番に楽しいのは授業の構想を考えている時。専攻科は国試と関係ないので、自分の思いどおりにやれるので《イキイキ》とできます。今回は《配穴の作り方》について論じたいと思ってます。

講師が楽しくない授業は生徒も楽しくないでしょう。

ここが終わるとめんどくさい確定申告の時期がやってきます(事務仕事が恐ろしく苦手)

※新着時期を過ぎると左サイドバー《論文&講義》に収められています。

肛門部の皮膚については「そう痒=かゆくて掻いてしまう」といった症状が見受けられることがあります。これまで述べてきた「痔」も一つの原因ですが、炎症性腸疾患含む肛門直腸疾患他、アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患、疥癬などの感染症、大量発汗などの衛生面などのかゆみが生じる原因が多くにわたります。

以下、東洋医学的な「肛門部周囲のかゆみ」についての解説を行いたいと思います。

●肛門そう痒とは?

 肛門周囲の皮膚がかゆくなり、しばらくたっても治らない症状を指す。

痔・列肛・肛門周囲のできもの・皮膚病など多様な疾患みられる。

①風熱(ふうねつ)型

五臓六腑の「肺」に熱が侵襲する。この肺に存在する熱が下降して大腸へと到達することが原因の多くとされる。(漢方上では「肺」と「大腸」は経絡で密接につながっている)

(特徴)虫にかまれたような熱感があり耐え難いかゆみ・ひどい場合には皮膚がさけて出血する

(そのほかの身体症状)胸苦しさ・不眠・口が苦くのどがかわく・便秘・精神不振など

②風湿挟熱型

 湿気や熱由来。湿度が高い・高温な気候など環境要因が関与したり、また飲食の不摂生や消化機能の低下により体の中に余剰な水分が生じることが原因となる。これらが肛門皮膚部にうっ滞することでかゆみが生じる。

(特徴)皮膚に湿り気がある・活動して皮膚が擦れることで傷みはさらに強くなる

(その他の身体症状)倦怠感・体が重だるい・お腹が張る・小食など

③血虚生風型

体の中の栄養物質・保湿物質が失わると乾燥症状が生じる。肛門皮膚の栄養物質・保湿物質の不足が原因となりかゆみが生じる。

(特徴)皮膚は乾燥している・ツヤや張りがない・クモの巣状のシワとなる

(その他の身体症状)口、舌の乾燥・痩せ・不眠など

身体症状として「かゆみ」を伴うことは多く見受けられますが、今回は肛門部について解説させていただきました。自身の体を知る上での何かの参考になれば幸いです。

スタッフ 杉本

 ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

こんにちは!正月休みの夜更かしグセが治らず、夜中の三時まで眠れない研修生の大久保です。

さて、突然ですがジャンケンのパーをした時に皆さんの手の指は真っ直ぐ伸びていますでしょうか?

学生時代にバスケットやバレーボールで突き指をしてから曲がったままという方もいると思いますが、

治療をしていると『いつからか一本だけ指が隣の指に向かって曲がっているんだけど何で?』というお声も

少なくありません。今回はそんな関節が変形する理由を中医学的に説明したいと思います。

まず、関節の変形で考えられるのがリウマチですが「朝のこわばり」や「熱っぽさ」などの定義があります

ので、ネットなどでチェック項目を確認して頂いて当てはまるようなら病院を受診されたほうが良いと思い

ます。中医学で考えるリウマチも下記の原因とは少し異なりますので、今回は「リウマチ以外の関節の変形」

という形で三つご紹介致します。

①気滞血オパターン

 症状 :針で刺されたり刃物で切られるような特定の場所にだけ起こる鋭い痛み。

     腫れや動きの制限がある。

 原因 :風寒湿熱の邪が体内に長期間入り込み、気血の動きを悪くして変形させる。

     また、外傷により引き起こされる。関節以外での変形も見られる。

②痰オヒ阻パターン

 ※説明で出てくる「オ血」=血の流れが悪くなると出る病変。「痰」=津液(身体に流れる水分)の流れ

 が悪くなると出る病変。とイメージして頂くと分かりやすいと思います。

 症状 :慢性的に痛く、繰り返す。関節は硬直し変形する。激烈な痛み。

     曲げ伸ばしできず、腫れやしびれが出る場合がある。

 原因 :気血の閉塞(ヒ症)が反復された為オ血や痰が生じ、それらが合わさって引き起こされる。

     特定の場所が激烈に痛み、関節の曲げ伸ばしができない。

③肝腎の気が無くなりかけパターン

 症状 :慢性的な関節痛。筋肉や関節の引きつり。疲れ、寝汗、めまい耳鳴り、もだえ暴れる、

     夕方の決まった時間に熱を出す、足腰に力が入らない、関節の熱感腫れ、日中は動けるが

     夜になるとダルくなる。

 原因 :病気の長期化で筋肉を主る肝と骨を主る腎が力を失い、徐々に関節が変形する。

となります。冒頭でお話ししました『いつからか曲がっていた』の理由は③の「徐々に関節が変形」

する為にご自身でも気づかない内に変形が進んでいたのだと思います。また、突き指などで関節が

曲がってしまう理由も、回復期に気血の流れを良くする処置をしていなかったり、そのまま運動を

続けていた為に気滞血オが進んでしまったのだと考えられます。(私もそうでしたが、休んだら

レギュラー落とされるから休めません><)

中医学は色々な事が説明できるので面白いですね(o^―^o)

↑指体操の一つです。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

20201/1

明日から本格的に21年の臨床が始まる。

今年はどんなドラマが待っているのだろうか?

少し前の話だが、滅多にお目にかかれない患者さんと遭遇する。

この患者さんは中医でいう「言語錯乱」の変法。丹渓心法なら『錯語』に当たる。わけのわからい言葉が次から次へと留めなく出てくる状態をいう。自身でもこの状態になると自制できないらしい。

今回はお葬式でこの症状が現れる。

スピリチァル的のいうなら三次元と四次元に境界を彷徨う感じで、鬼籍に入られた方の思いを被ってしまうらしい。霊が乗り移ったとでも表現するのだろうか。

その前の時は文字通り「言語錯乱」で自分の意識がなくなり、わけのわからない言葉がどんどんと出てくる感じであったが、今回は意識が遠のき、言語錯乱もあったが、非常に強い口渇を自覚し、異常に水を飲むという異常行動で現れる。

その後は疲労困憊になるり、悪夢を見るようである。自分でもそうなっているという意識があるも、止められないので、とても恐怖感じるという。

一介の鍼灸師が治療の対象としていいのかどうかわからないが、少し落ち着いたご様子であったので引く受けることに。

現状の弁証は心脾両虚。

顔に赤みが戻っているので良しとする。

発作時は心火であろう。安定時の心脾両虚からトリガーになる不安感が潜行し一挙に心火に移行するのだろう。

今回、言語錯乱より飲水異常が強く現れたのは、本人が過去の数回の体験から無意識に学習されたのであろう。その証左になるかどうか微妙だが、ご自身の意識が遠のく(乗って取られる?)前に強い口渇を感じている。そこで心火の熱を冷やすための行動であったと解釈している。

その後耳鳴りで定期的に通われているが、10年以上はこの症状は出ていない。

ついでに耳鳴りも


※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記にない症状》に収められています。

こんにちは!研修生の大久保です。

今年は曜日の兼ね合いもあり、今日から仕事始めの方もいらっしゃると思いますが、皆様お正月は

ゆっくりお休みできましたでしょうか?例年なら私は三日までダラダラと家から出ずに過ごすのですが、

先月引っ越しをしたのもあり、元日からバタバタしておりました。

が、それでもやっぱり見てしまいますね!箱根駅伝。それも椅子から一歩も動かずに(笑)

ながら見しながら作業をすれば良いのですが、足が攣った選手にハラハラしたり、走り終えた道に一礼して

仲間の元へ向かう選手に感動したり、そうこうしているうちに見慣れた江の島の景色が見え、気が付いたら

小田原。ここまで来たらゴールまで!となってしまうのは私だけでは無いと思います。

さて、そんな選手達が区間を分けて走る駅伝なのですが、海外でもやっているのか調べてみると、

ハワイやオーストラリアなど、数か国で開催されているようです。けれど日本のように盛り上がっている

という記事までは見つけられませんでした。ここからは想像なのですが、やはり日本の駅伝が盛り上がる

理由として、死に物狂いで走る選手に「感動」を覚える日本の文化があるように思います。

夏の甲子園でも言われていましたが、海外では身体を壊してまで何かをやり遂げる事を美徳とは

捉えられないので仕方ありませんね。

日本でも賛否両論ありますが、私はそんな死に物狂いで頑張る選手を見て「自分も選手たちに負けない位

今年も頑張ろう」と思える駅伝が大好きです。

まだまだ満足のゆく治療ができていませんが、去年よりも多くの合格点が出せる治療ができるように努力しようと

再確認した正月の一場面でした。

研修生 大久保昌哉

※新着時期を過ぎると左サイドバー《みんなのブログ》に収められています。

数回に渡って泌尿器についての症状を解説をしてきました。

本日は「尿失禁」について解説していきたいと思います。

◎「小便失禁」とは?

「尿失禁」を中医学では「小便失禁」という。この「小便失禁」=日中・夜間を問わず意識下で尿を漏らしてしまい、排尿を自制できない状態を指す。類似した症状で「遺尿」と「尿後余瀝」がある。

相違点として、「遺尿」は夜間無意識下に尿を漏らしてしまうことで、「尿後余瀝」は排尿は自制できるが、尿の切れが悪く排尿後に少量の尿が点滴する状態が挙げられる。

◎「尿失禁」の現代医学的な分類

現代医学上でも尿失禁は自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられている。

 ①腹圧性尿失禁

重い物を持ち上げたり、咳やくしゃみなどにお腹に力が入り腹圧の上昇したために起こる尿失禁。

女性の尿失禁の中で最も多い。加齢や出産を通じて、排尿にかかわる筋肉が緩むために生じる。膀胱の過活動はない。

②切迫性尿失禁

急に尿がしたくなり、我慢できずに漏れてしまう。不随意の膀胱収縮を伴う。

急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。
多くの場合は特に原因がないのに、膀胱が勝手に収縮してしまい、尿意切迫感や切迫性尿失禁をきたす。
③溢流(いつりゅう)性尿失禁

排尿障害が基礎疾患としてあるために自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ漏れ出てしまうの状態。男性に多くみられる。



④機能性尿失禁

排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の障害や認知症などのためにトイレに間に合わないことで起こる尿失禁。

◎「尿失禁」の伝統医学的分類

①腎陽虚による小便失禁(加齢型失禁)
長期間病気を患う・加齢によって「腎」のエネルギー(あたためるエネルギを含む)が虚損する。腎は排尿コントロールを担うが虚損することで尿の貯蔵・排出機能が低下するために失禁が生じる。
・主な症状・・・回数頻回・尿色は薄い・尿量は多い
・その他の症状・・・倦怠感・腰の重だるさ・四肢の冷えなど

②脾肺両虚による小便失禁
慢性的な咳症状による「肺」の損傷や疲労感や素体の虚弱により「脾」が損傷することによって生じる。「脾」「肺」ともに虚損することで水液の運行や膀胱の排尿コントロールに障害が生じるために失禁が生じる。
・主な症状・・・頻繁に失禁
・その他の症状・・・心身疲労・食後お腹がはる・食欲不振・下痢など。

③膀胱湿熱による小便失禁

 環境要因(暑い・また湿気が強い気候)や辛いもの・味の濃いもの・甘いものの過食などの飲食不摂生により消化器(中焦)に湿熱が生じる。消化器に生じた湿熱が膀胱に流注することで、膀胱の貯蔵・排出エネルギーを損傷させることが失禁が生じる。
・主な症状・・・頻尿・尿意の切迫感を感じる尿量は少ない・尿色は濃い・排尿時灼熱感をともなう。
・その他の症状・・・口が苦い・口が乾く・身熱など。

④肝腎陰虚による小便失禁
津液の損傷や加齢などによって陰液が損傷する。体を冷ます作用を有する津液が損傷することで体の内部に相対的な熱が生じる。この熱が膀胱の貯蔵・排出エネルギーを損傷させるため失禁となる。
・主な症状・・・尿量は少ない・色は濃い
・その他の症状・・・頭のふらつき・耳鳴り・両ほほが赤らむ・側胸部のシクシクとした痛みなど

尿失禁は高齢者以外にも、40代以上の女性の4割以上患うとされている。

この「尿失禁」は症状以外にも心理的負担も負うように感じる。

また介護を有するような方に関しては、同居する家族にも同じように心理的な負担・介護負担の増加をもたらしてしまうでしょう。

当院では上記のような症状に対して、主に手足・腹部のツボを用いて治療を行っていきます。

相談しづらい疾患ではあると思いますが、お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

スタッフ 杉本

 ※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

2021/1

微熱は発熱とは違い、体温計で表れない自覚的熱感を指す。仮に現れても37度前後までだろう。

時間帯により高い自覚があったり、、平熱になった感覚になったりする方が多く、数カ月続くこともまれではない。

当院でもこれを主訴に来院する方は結構おり、更年期以後の女性に多い。

大きくは胃腸の亢進型、乾き型、疲労型に分類する。

胃腸亢進型は感冒から展開するケースもあるが、微熱は午後から夕方辺りに表れやすく、手足の発汗、腹部の違和感、便が出にくいなどを特徴とする。

乾き型は午後あるいは夜間に微熱する。手足や顔などがほてり、不眠、寝汗傾向も顕著になる。これに類似するが腹部の硬結があり、口が乾くも水分を取らないケースでは、背後に炎症性疾患が隠れていることもあり注意する。

※疲労型はほとんどが自覚のみの熱で体温計には表れない。午前中に微熱が表れることが多い。あるいは読んで字のごとく過労・心労と連動し表れることもある。慢性的な疲労感、息切れなどがある。

食欲との連動なら疲労型に多そうだが、疲労型は食の進み方が遅くなるが食べられないというほどではなく、むしろ胃腸亢進型の方が食べたがらない。

そのほか免疫機能が弱い方で季節性を持つ方もいる。梅雨から真夏にかけてのみ表れるケースもある。子供に多いが大人でもある。

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載のない症状》に収められています。

「排尿」ひとつ着目しても体の色々な情報が得ることができます。

今回は「尿の切れがわるい・残尿感(尿後余歴)」について解説を行っていきたいと思います。

「小便の切れが悪い」・「排尿が終わったあとにも尿が点滴する状態」を「尿後余瀝」という。

「尿が点滴する」という状況は「小便失禁」と共通している。

ただ「小便失禁」は排尿を自制できずに漏らしてしまう状態である。

対して「尿後余瀝」は排尿自体は自制できるが、排尿後に点滴する状態を指している。

◆腎虚による尿後余瀝(高齢の方に多い)
膀胱内にある尿は五臓六腑の気の作用によって膀胱内にとどまることが出来ている。加齢・長い間病気を患うこと・産後の消耗などが原因となって腎の損傷されることで排尿コントロールができなくなるために尿後余瀝となる。

(主な症状)頻尿・尿の色は薄く透明・尿量は多い。
(その他の症状)膝腰の重だるさ・四肢の冷え低下、耳鳴りなど。
 

◇中気下陥による尿後余瀝(働き世代に多い)
飲食の不摂生などにより消化器にダメージが生じる。東洋医学上の消化器(脾胃)の役割として内臓の位置をその場にとどめておく作用を有している。消化器が損傷することで昇挙無力が生じ、膀胱を約束できないことによって尿後余瀝となる。

 
(主な症状)尿色は透明で薄い・排尿後にポタポタと出る・疲れにより生じやすい
その他の症状精神疲労・食欲不振・下痢・内臓下垂など。

◇膀胱湿熱による尿後余瀝(飲食不摂生の方に多い)
飲食物は尿や便として体外へ排出される。味の濃いもの・アルコールの過剰摂取は体内に湿熱を生じさせる。この湿熱が消化器から膀胱に移動した結果、膀胱の排尿コントロールの機能が失調されることによって尿後余瀝が生じる

(主な症状)回数頻回。尿色は黄色く濁っている・尿や尿道の灼熱感をともなうことも。
(その他の症状)口が渇く、身体のほてりなど。

年末年始。自宅の清掃も終えたのですこし時間を見つけて勉学に励みたいと思います。

本年も引き続き精進していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

スタッフ 杉本

※新着時期を過ぎると左サイドバー《上記に記載にない症状》に収められています。

2021/1

鍼灸学校では「人の精神・感情は五臓それぞれが受け持ち、それを統合するのは心(シン)である」と習います(すごく大雑把ですが・・・)

その心の総合作用の中心に位置するのが心にある神(シン)です。これを「心は神明を主る」といいます。

その他、心には火性傾向五志として喜(キ)の性質を有します。

そこで心(シン)が充実しているとは「気力の充実・頭脳明晰(心(シン)の働き)、情熱的・積極的(適度な火性)、陽気、楽天的、屈託がない(五志の喜)」のような心理的特徴が現れやすくなるわけです。

私たち鍼灸の臨床家は何かしらの精神疾患の患者さんと対峙したとき、その病証が心(シン)と絡むかと考える際は、上記のような心理作用著しく減退するなり、病理的に亢進していないかを考えることになります。

心の減退

具体的には神の減退で勇気が持てずに消極的になる、それが高じると強い不安感、気力がないなどが現れます。喜という感情の減退なら全く楽しくないため、表情が乏しくなるでしょう。また火性を失うと寡黙、動きたくない(動けない)となります。今でいう鬱病に非常に近いですね。

では亢進しすぎるとどうでしょうか?

これはまず神のお祭り状態のようなもので、火性も喜もお祭りに参加しているような感じでしょう。異常にはしゃぎ、じっとしていられない、話がどんどん飛ぶようになります。まるで今の躁病や統合失調のような症状を現しますね。

心を保っているかどうかのリトマス紙

自分自身の心の状態って意外とわからないものです。

先の気力の充実・頭脳明晰、情熱的・積極的、陽気、楽天的、屈託がない人あるいはそういう状態のときなどはそうそうにないでしょう。

僕とて元より心の火性、五志の喜が少ないので、陰気で、心配性、おまけに屈折しているわけです(*`艸´)ウシシシ(本人は病的レベルではない思っています)

僕が自分自身の心が今どうような状態か、パワー不足か充実レベルか、あるいは心が成長しているかを測る指標にしていることがあります。

それはこの文言です。

《一定程度の質量の精神刺激に対して感情の起伏が起きない》がそれです。

とても嫌なことがあったり、強いストレスが感じたときに自分の感情がどう動くかを見ています。

たとえば昔なら、ちょっとした言い争いやケンカ程度でも不安になり眠れなくなったりしていました。今だとこういう風に気持ちが落ち込むことはありません。仮に落ち込んだとしても長続きはしなくなりました。

もちろん大事な方の不幸に出会ったりしたら感情が乱れるのは当然の反応といえますから、こういうは抜きますね。

感情の起伏を俯瞰すればその人の今の心(シン)のレベル掴めるようになってきます。

治療レベルでは肝の助けを借りながら調節していくことが多いのですが、それはまた機会があればお話しします。


※新着時期を過ぎると左サイドバー《神経症/鬱/自律神経失調症など》に収められています。

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