同じような病気でも、人それぞれに痛み方が違います。どうしてこのような現象が起きるのでしょうか?
確かに『痛みに強い人・弱い人』という言い方があるように、感じ方は人それぞれです。このような違いは、一般に閾値(いきち)の違いとして理解します。
疼痛閾値は、文字通りどのくらい値で痛みを感じるかという点を数字化したものです。通常は圧力計を使い図ります。
痛みは脳内で把握するものですから、その時々の精神状態や過去の経験などが、この疼痛閾値を大きく左右します。
たとえば、神経質になり、痛みのことばかり考えていたら、閾値は下がる、つまりちょっとの痛みでも、ことさら大きく強く感じます。つまり痛みに集中すると、さらに痛みが増すという法則が成り立つわけです。
逆にいえば腰痛や神経痛があっても旅行中(楽しい場面)などでは痛みが出ないことがあるわけです。恐怖心も閾値を下げます。初めての痛みだと、過去に経験がなく、不安が強くなる傾向を持ちます。たとえば東洋医学で驚悸(きょうき)といいますが、不安・恐怖による急な動悸には、胸痛を伴います。